2005/02/16 相続贈与財産の名義変更費用も譲渡原価に-平成11年分譲渡まで還付OK! | エクスプレスの税金超特急/最新トピック

2005/02/16 相続贈与財産の名義変更費用も譲渡原価に-平成11年分譲渡まで還付OK!

 個人の譲渡所得の計算では、譲渡資産が贈与や相続で受けたものであっても、贈与や相続時の名義変更費用については、従来は、譲渡の費用とすることができないという取り扱いでした。
 
 ところが平成17年2月1日、最高裁判決で、父から贈与を受けたゴルフ会員権の名義書換費用を、その後の売却の際に取得原価として所得から差し引けるかが争われ、納税者が勝訴。
 
 国税庁は、一転、名義変更等の付随費用を取得原価(取得費)に算入すべきという方針転換をしました。
 
 譲渡所得=譲渡代金-(取得費※+譲渡費用) ※取得費=取得原価+取得費用
 
 この取得費に、相続や贈与の名義変更料が該当する、という判断になったのです。
 
 折りしも平成16年譲渡の確定申告が始まります。国税庁は急遽、取扱の変更文書を出しました。
 http://www.nta.go.jp/category/shinkoku/data/h17/3007/01.pdf
 
■取得費にできる付随費用とは、取得のために直接要する費用

 相続・贈与で取得した資産の取得費にできる費用は、次のものがあります。
 
① 会員権等の名義書換料
② 不動産の登録免許税・不動産登記費用・不動産取得税
             (売却資産以外の資産の費用は按分)
③ 株式の名義書換手数料
④ 特許権の登録費用 
⑤ その他、売却資産を取得したときに直接かかった費用
   ※相続での代償分割の際の代償金は、認められません。

■概算取得費を使う場合は、取得時付随費用は取得費にできない-どちらが有利か計算を

 相続で取得した財産を売却する場合、取得原価が不明だったり僅少なときは、売却代金の5%を概算取得費とする特例があります。
 
 この特例を使う場合は、取得費用もこの5%に含んでいるとみることから、上記の名義変更費用は差し引けません。
 
 そこで次の計算をして有利な方を採用しましょう。 
 
           ↓不動産の場合
(売却代金+固定資産税相当額精算金)×5%< 取得原価+取得時付随費用 ∴算入
  
■過去の譲渡で、付随費用算入していない場合は、還付請求!

 「おいおい、そんなこと知らないから、過去の譲渡では、付随費用を入れていないよ、入れていれば、もっと譲渡税が下がったのに!」というかたは、今から還付請求です。
 
 そのとき概算取得費を使っていればアウトですが、原則計算していればOKです。
 
 法律の原則からは、今から更正の請求で還付を受けることができるのは、申告期限から1年間ですから、平成15年分譲渡までです。
 
 それ以前の譲渡は税務上の5年の時効にかかるまでは、職権更正を請願(嘆願)する方法によります。
 
 最大さかのぼって、平成11年譲渡分についてまで平成17年3月15日までに請願すれば、国税さんは最優先で対応するのだそうです。
 
 例えば1億円の固定資産税評価の土地相続には20万円登録免許税がかかりました。当時の譲渡税率で5万円の還付です。
 
 過去譲渡の申告書を見直して、がんばってみましょう。