個人寄付金控除上限は、平成17年から増額-子会社等支援の支援損は、損金算入も | エクスプレスの税金超特急/最新トピック

個人寄付金控除上限は、平成17年から増額-子会社等支援の支援損は、損金算入も

  確定申告が終わりました。平成16年分の所得税の確定申告を受任してエクスプレスが気づいたのは、大変多くのお客様が新潟中越地震への寄付をなさっていたことでした。法人決算でも、多くの寄付がありました。申告書を作成しながらエクスプレスも、胸が熱くなりました。

■個人の寄付金控除は、1万円又は10万円足切り、平成17年より年所得の3割が上限

 個人が寄付をした場合、「特定寄付金-1万円(住民税は10万円)」(所得の30%を限度、平成16年分までは所得の25%)を所得から差し引くことができます。所得1,800万円の方が20万円寄付すれば、8万3千円の所得税住民税が軽減されます。

 特定寄付金は、国や地方公共団体への寄付金、②指定寄付金、③学校法人、社会福祉法人など公益法人や日赤など特定公益増進法人への寄付金、④認定NPO法人への寄付金、⑤特定公益信託への寄付、⑥一定の政治献金などです。被災義捐金は、日赤や新聞社を通じての自治体に対する寄付です。  

■法人の公共への寄付金は、全額損金算入。特定公益増進法人への寄付は限度計算

 法人税では、上記の①・②への寄付は、会社が損金経理した場合は、全額損金とできます。個人の寄付は足切りあり、頭打ちありですが、法人にはその制限がありません。

■会社からの対価性のない支出=贈与は、寄付金課税

 得意先・仕入先など事業関係者への反対給付を期待する支出は交際費課税対象です。役員に対する経済的利益や金銭の贈与は損金不算入、給与課税の往復ビンタ。寄付金と区別されます。

 寄付金は、金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与。事業に関係ない者に対する反対給付のない支出をいいますから、公益事業以外に対する外部への対価性のない支出はすべて寄付金と扱われ、原則としては損金不算入、資金はなくてもあるものとして課税されます。

  ただし、一定額までは損金算入できるため、自社の限度額は把握しておきたいものです。
一般の寄付金・特定公益増進法人等への寄付金の損金不算入額=支出寄付金の額-(※損金算入限度額+一般の寄付金の損金算入限度額と特定公益増進法人等への寄付金の少ない金額)
※損金算入限度額=(期末資本金等の金額×月数/12×2.5/1000+所得金額×2.5/100)×1/2

■子会社等に対する債権支援は、「支援損」として損金算入も-国税も事前相談で対応

 事業関係者のうち、子会社等に対して金銭の贈与や債務の免除といった経済的利益の供与について、次のような特別な事情がある場合は寄付金とはせず、損金として処理することができます。

 1.子会社等を整理する場合の損失負担等
 2.子会社等を再建する場合の無利息貸付等

 再建支援等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることが明らかな場合や、子会社等の倒産を回避するためにやむを得ず行うもので合理的な再建計画に基づく場合など、再建支援等に相当な理由があると認められる場合があたります。該当する場合は事前相談しましょう。

 判定基準は、
①損失負担等を受ける者は、子会社等=資本関係者や、取引関係、人的関係、資金関係等で事業関連性のある者に該当、
②子会社等は経営危機に陥っている(倒産の危機にある)。
③支援者にとって損失負担等を行うことは相当、
④損失負担等の額(支援額)は合理的である(過剰支援でない)、
⑤整理・再建管理がなされている(その後の子会社等の立直り状況に応じ支援額を見直す)、
⑥支援者の範囲は相当(特定の債権者等が意図的に加わっていないなど恣意性がない)、
⑦特定債権者だけが不当に負担を重くし又は免れていない)、など。

 ポイントは決算時の処理です。
 国税局も事前相談に対応しています。