ダーウィン展 ~22個のクロノメーター~ | ∵ イ ッ セ イ イ ズ ム ∴

ダーウィン展 ~22個のクロノメーター~

種の起源ダーウィン展は、ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館(2005年11月~2006年8月)で開催されたのち、世界を巡回している展覧会です。

また、<南米・アジア・太平洋方面>と、<北米・ヨーロッパ方面>の平行開催で、

今は大阪市立自然史博物館と、カナダ・ロイヤル・オンタリオ博物館で開催されています。


もちろんボクは、先週土曜日から開催されている大阪市立自然史博物館の大阪展を拝観。

行く前までは、大阪市立自然史博物館の箱で、入場料1200円は高いなぁ~と思っていたのですが、内容には1200円以上の価値があり、徒歩10分という地の利もあるので、あと2回は行くつもりです。汗

行ってみて一番嬉しかったのは、小中学生(入場無料)がたくさん来ていて、キャプションに書かれている内容を熱心にノートに書き込んでいる姿。顔

大阪の「科学リテラシー」のシーズを見つけた気がしました。

大阪の前は東京上野にある国立科学博物館で2008年3月~6月の間開催されていて、観覧者数が20万人を超えたそうですが、大阪展もこれに近い数字の観覧者数を期待します。ビックリマーク

展覧会の内容については、皆さんにも足を運んでいただきたいのであえて書きませんが、何か関連する記事を連載してゆきたいと思い、今回はクロノメーター(正確な時計)のことについて少し書くことにしました。

ダーウィンといえば、今から約170年前(日本は江戸時代)に南半球を航海したことによって進化論を着想しているのですが、当時、ダーウィンが海難事故に遭わず正確に南半球を航海できたのは、精度の高いクロノメーターのお陰でした。しかも当時一隻に2個のクロノメーターがあれば航海できるとされていましたが、ダーウィンが航海したビーグル号にはなんと!22個ものクロノメーターが積まれていたのです。目

【クロノメーターの豆知識】
ダーウィンがビーグル号で航海するまだ100年ほど前の大航海時代、航行する船の位置を知るため、緯度は星の位置、経度は時計で割り出していたのですが、この時計の精度が甘い船は海の迷子となって、海難事故を起してしまっていました。この海難事故の多発を当時のイギリス国王ジョージ3世が遺憾に思い、懸賞金をかけて正確な時計を作るように命じ、この事がクロノメーターの歴史が始まるきっかけとなったのです。クロノメーターという名称は、ギリシア神話の時間の神“クロノス”に由来しますが、その名称は、ジョン・ハリソンが30年かけて作った時計に付けられた名称。のちにジョン・ハリソンが作ったクロノメーターの4号機、H4という直径5インチの懐中時計が、イギリスからジャマイカまでの81日間の航行で、5.1秒の遅れしか示さなかったそうで、国王から提示された条件を見事に満たしたということで、彼が高額の懸賞金を手にしたのです!

今でも高精度な機械式時計の精度を調べる公的な機関があり、この厳しい精度テストに合格した"ムーブメント"には、クロノメーターの称号が与えられ、時計のクオリティの高さが証明され続けています。ちなみに、現在の時計のクオリティの認定は、スイスクロノメーター認定協会C.O.S.C.(コスク)以外に、ドイツクロノメーター認定、ジュネーブシール、ブザンソン天文台検定、カリテ・フルリエ、GS規格などがあり、それぞれに厳格な品質基準を持っています。また、IWCという時計メーカーなどはそういった外部の認定を受けないで、自社の厳しい精度基準に自信を持っているブランドもあります。

時計のことを書き出すと止まらなくなるのと、ダーウィンからどんどん離れていってしまうので、今回はこの辺で。


※ダーウィン展にビーグル号の模型は展示されていますが、クロノメーターの展示はありません。

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