東京ミッドタウンアワード2008 ~アートコンペ~

前回、アートコンペに関して「これはないわ!と思える日本の想像力に期待しています。」と書きましたが、具体的にボクがアートに関わって欲しいと願うその一つが「日本の科学の力」です。
科学技術立国を目指しているといいながらも、日本人の「科学リテラシー」の低さ、というか無さ…
に、アートを通じてなんとか刺激を与えて欲しいと願うのです。
ボクが子供の頃は、ギリギリ自然が身近にあり、自然科学にも興味があって、科学の楽しさが腑に落ちていましたが、今の教育現場では先生自体が自然科学に対する親しみが薄いためか、問題を解く過程によって答えを導くといった教えではなく、答えそのものを重要視してしまっていて、科学は単に記憶力の科目のように捉えられています。
遊ぶ道具にしても、ボクらの年代は科学ブロックやトランジスタラジオ組み立てキットのように、科学原理が見えるようなものが多くあって、原理そのものを楽しんでいましたが、今はそれがどのような原理で動いているかを考えることすら思いもよらず、ただ与えられた科学文明の使い方だけをマスターして満足しているだけ… 見ていて少し情けなくなるのです…
その原因はいろいろとあると思うのですが、ボクは科学がどんどん高度化、専門分野化され、挙句に専門分野の科学者たちを「専門バカ」などと呼ぶようになり、科学者と一般人の距離が大きく離れてしまったことが一番の要因だと思っています。
このことに危機を感じる一部先生方の間では「日本の科学リテラシーを向上させる」取り組みがなされていますが、まだまだ実際の教育現場に降りてきていません…
ボクは、昔がそうだったように「アート」という分野に科学の力がおよぶことで、少なからず科学への感心が高まり、刺激になるように思っています。
“できる人たち”が、ボクたち一般人にもわかり易く、今の科学の原理をカタチにさえしてくれれば、それがまさに「これはないわ!」と感動してしまう「アート」となりうるのです。
しかし… 実際“できる人たち”にとっては、「アートコンペに出品するメリットって何?」であったり、「製作補助金を受けても賞金を獲っても製作費に達しません。」となるのかもしれないのですが…
科学者こそが、最も遠い未来を想像できるアーチストであることは間違いなく、科学の力の及ばないアートの世界はどこまで行っても、ボクの中では大したことないのです。
アートコンペというイベントが、日本の科学者とボクたち一般人とをつなぐ接点になればと、わずかな期待をしています。

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多くの人の意識を高めるコトこそが、アートの本来の役目と考える∵ イ ッ セ イ イ ズ ム ∴でした。