DESIGN FOR THE OTHER 90% | ∵ イ ッ セ イ イ ズ ム ∴

DESIGN FOR THE OTHER 90%

ロードキャリング・バイシクル昨日書いた「グッドデザイン賞(Gマーク)」の日本国内の認知度は、15歳以上の人でなんと約90%という調査結果があります。これは、内容はよくわからないけど「聞いたことがある」。「見たことがある」。という人も含めてですが、約9割の人がデザインされたものが身近にあって、デザインが暮らしを快適にしてくれている証しといえます。

日本にいると、これも誇らしい数字なのですが… すべてが必要とされたデザインなのか?と問われるとどうでしょうか。

また、世界規模でデザインを考えたとき、デザインと直接関わりのない人々こそ、ほんとうにデザインを必要としているのではないか?という見解もあります。

そんな展示会が、昨年NYのクーパーヒューイット国立デザイン博物館で開催されて話題となりました。

それは“DESIGN FOR THE OTHER 90%”と題されたデザイン展で、プロのデザイナーがたずさわる仕事は、世界の人口の90%の人々のためには役立っておらず、地球上の90%の人が直面している深刻な問題に対して「デザイナーがすべきことは何か?」がここで問われたのです。

世界66億人のうち、11億人の人が1日1ドル以下、29億人の人が1日2~4ドルで生活していて、15億人の人が発展途上国、開発途上国に属し、3300万人以上の人が難民と伝えられ、世界の9割の人がデザイナーの手がけたモノに触れたことがないと報告されました。これ、日本とはまったく逆の数字で、全世界では10%の人たちにしかデザインのチカラが及んでいないそうです。汗

QDRUMまた、ほんとうに人々の生活に「豊かさ(最低限の生活を確保する)」を与えるデザインの役割とは何か?が同展でクローズアップされました。

この水色のドーナツ型の物体は水を運ぶための容器で、67リットルの水を入れて子供がロープで引っぱって運ぶようにデザインされた「Q DRUM」。

また、上の大きなかご付き自転車は、一度に多くの荷物が楽に運べるようにデザインされた「ロードキャリング・バイシクル」。余談ですが、昔、大阪でもこれに近い自転車で商品を運んでいた時代があり、ボクも子供の頃“三角乗り”した記憶があります。また商売によって荷台のカタチが違い、今思えばみごとにデザインされた自転車でした。

ライフストロー右の筒は「ライフストロー」といって、なんと汚水を飲料水に変えるという魔法のストロー。水たまりからこのストローで直接水を飲んでも大丈夫。目

このように、生活を改善する手段はデザイナーでないと発想できないことであり、ともすれば過酷な条件下で生活する人々に対しては、医師以上に多くの命を救うことができるデザインのチカラもあるといいます。

しかしこれらは、経済と一体でないと実現が難しいのと、単にデザイナーがモノを供給するだけでは問題解決にならないのも現実です…

- DESIGN FOR THE OTHER 90% -

ボクに世界を救うためのデザインができるとは思えませんが、この「志」だけは常に持って、何か“未来のデザインのシーズ”になるものはカタチにしたいと思っています。

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