旧行Express
Amebaでブログを始めよう!

この度は、当ブログをご閲覧頂き、誠に有難く存じます。


本日より活動を開始致しました当ブログ「旧行エクスプレス」ですが、このブログの趣旨や設立に至った経緯などをここに記しておきたいと思います。



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時は遡って2009年4月。埼玉県某所にある小学校に、1人の転校生がやってきた。村山匠である。その日の休み時間、彼に唐突に「鉄道は好き?」と聞いた変人がいた。三笠ひゅうがである。そんな中、小学生にして教室で優雅に女の子と会話しながら絵を描くという美術人がいた。ほのぼ悠琴がけたである。これが彼ら3人の運命の出会いだった。


彼らはクラスメイトで、家の方向がほぼ同じだったことなどもあり、日に日に打ち解けていった。やがて、漫画家を夢見ている(当時)村山匠、学校で自由帳に漫画を描いている(下手くそである)三笠ひゅうが、漫画に限らず絵を描くのが大好きなほのぼ悠琴がけたの間には、一種の仲間意識が芽生えた。


そして、誰かがある日突然言い出した。


「3人で同人誌を作ろう!!」


これが全ての始まりだった。


同人誌といっても所詮は小学生、コ●ケで売っているようなそんな大それたものではない。60ページの自由帳に3人がそれぞれ漫画を描く、というシンプルなものだ。そして、その同人誌の題名―――それが、「エクスプレス」だった。


エクスプレスは、クラスなどで中々の好評を博したものの、成功とは言い難かった。村山匠が執筆を怠惰し始め、やがて自然消滅してしまった。結局、エクスプレスは3号まで発刊したところで打ち切りとなった。


とはいえ、その後も彼らの交流はそれまで通り続いた。


2010年、彼らは中学校に進学。3人揃って同じクラスになったのは、これもやはり何かの縁だったのだろう。ところが、村山匠の身に事件が起こる。なんと、また転校してしまうというのだ。彼の変遷は激しく、小6の時に福島から埼玉某所へ、中1の夏に埼玉某所2へ、中3の春に千葉へと転校し、現在の場所に落ち着いている。こうして、彼ら3人の直接的な交流は僅か1年強で途絶えてしまった・・・かのように思えた。


ところが、現代社会は遠距離に優しい。村山匠と三笠ひゅうがの交流は、メールやソーシャルネットワークを通じて依然続いていた。たまに会って遊んだこともある。そしてもちろん、ほのぼ悠琴がけたも村山匠の事を忘れていなかった。


先日、村山匠と三笠ひゅうがは、久しぶりに2人で旅行をした。その際、当時の思い出話に華が咲き、「またエクスプレスをやりたいなぁ」という話になった。その時、村山匠が閃いた。「3人で共同ブログを作ろう!!」


かくして、3人で連絡し合った結果、ここに当ブログが誕生したのである。ブログ名は、「エクスプレス」の日本語訳である「急行」と「旧交」をもじって「旧行」、「旧行エクスプレス」とした。


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当ブログには、3人が小説、イラスト、漫画などを掲載していく予定です。2009年当時のエクスプレスとは内容が相当変わることでしょうが、それは彼らが成長した証でもあります。


今のところ、3人それぞれの掲載内容は


村山匠・・・文学


ほのぼ悠琴がけた・・・イラスト、漫画


三笠ひゅうが・・・文学


の予定です。彼らは気まぐれなので、突然新ジャンルに足を踏み入れることもあると思いますが、そこはご愛嬌ということで。



それでは、当ブログを宜しくお願い致します。



文責:三笠ひゅうが

僕がこうやって窓を眺めていると、あの日も今日のように晴天だったことを思い出す。
風が吹いていたか、そうでないかの記憶は定かではないが、
今の自分の懐かしき記憶の中からすれば、そんなことは大して重要なことではなかった。
あの日、写真を撮ることを僕はすっかり忘れてしまっていた。
朝が365回来るごとにその記憶がどんどん廃れていってしまうのだ。


今、過去の自分に出会ったとすれば、きっと鬱陶しく感じるような子供であったに違いない。
いや、そうであってほしいと願うばかりだ。
今の自分が過去の自分と変わりのない人物であるということは、
その駅からまだ出発出来ない列車と同じなのだ。
時間だけが過ぎて、周りは他の手段で前へ進む。

そんな幼い僕は、埼玉県某所に住んでいた。学校は近くの公立小学校に入学した。
僕が思い出すその日というのは、
その小学校を卒業した後、もっと言えば、3月31日のことである。
しかし、晴天の日に友達と横川に行ったという記憶以外、
今の僕の中にある記憶は何1つとしてなかった。
自分の部屋の中のどの抽斗(ひきだし)に入れたのかすら覚えていない。

学校の成績が特別悪いわけでもなかった僕は、
自分の記憶力がこの程度のものであることに絶望し、
他人との劣等感を感じずにいられなかった。
「あの日僕は何をしたいんだい?」僕は少年に聞いた。
「あの日?何のこと?」少年は返した。
「恍けないでくれ(とぼけないでくれ)。君も覚えているんだろう?」
「それって今日のこと?旅に行ったこと?」
「そうだ。きっとそうだ。それについて僕は聞きたいんだ。」
「お兄さんはどこまでそれを覚えているの?」
「申し訳ないが、ほとんど覚えていない。」
「じゃあ僕も教えないよ。教えない方がいいもん。」
「どうしてだ?どうしてそんなことを言うんだ?頼む。教えてくれ。
 大丈夫。その記憶は君だっていずれ忘れるんだ。忘れたら思い出せばいい。
 そうだろう?だからほら、教えてくれよ。」
少年の返事はなかった。そして僕の前から少年は立ち去って行く。
待ってくれ。僕を記憶の中から追い出さないでくれ。
僕も仲間に入れてよ。君は僕なんだ。


もうあの少年と出会うことはない。
出会う必要もない。
少年が言っていた言葉をやっと理解することができた。
なんだ、過去の僕の方が頭がよかったじゃないか、
僕は何故か恥ずかしい気分になって無駄に量が多い髪の毛を掻いた。

財布から汚れた切符を出した。
あれから何年の月日が経ったのだろう。
僕もあの時から顔や性格がずいぶん変わったはずだ。
しかし、この切符にそんなことはない。
あの時も今この時も決して変わることのない姿で僕を見ている。
そして明日からまた、この切符を使って線路の上を走っていくしかなさそうだ。

この汚れた切符こそが過去の少年と今の青年を繋いでいる唯一の証拠なのだ。


僕は、そう思うと、やりかけで中断していた勉強に集中するために
そっと窓を閉じて、鍵を閉めたのだった。