1762年のRobert Lowthの『A Short Introduction to English Grammar』は、伝統的英語文法の主要な源流の一つである。
それまでの英語文法書がラテン語文法に依存していたのに対し、Lowthは英語特有の構造を体系的に記述し、標準的な用法を定めたことで文法規則を明確に整理した。1800年までに45版を重ね、19世紀を通じて英国やアメリカの教育に大きな影響を与えた。Lowthの影響はアメリカでLindley Murrayの『English Grammar』(1795年)に引き継がれ、MurrayはLowthの規範的アプローチをさらに普及させた。
これにより、Lowthの文法観は19世紀以降の伝統的英語文法の基盤となった。LowthやMurrayの規範的文法は、現代の記述的文法とは根本的に異なるアプローチを取っている。21世紀の英語圏では、言語学や学術的な文法研究において記述的文法が主流である。
日本の英語教育では、伝統的な規範的文法が『正しい英文法』として重視される傾向が強く、特に受験英語や学校教育において厳格な文法規則が教えられている。