話を元に戻す…

俺は3F…

猫は2F…

お互いステーションで勤務してるから直線距離にして…

僅か3㍍…

限りなく近く…
途方もなく遠い…
この距離感…

メールの着信ランプが灯る…

シークレットフォルダOPEN!
【猫】

RE:

本文:

とみ○サン…


俺:なぁに?

猫:夜勤は順調ですかぁ??

などと…

取り留めの無いやり取りの後…

無性に猫に逢いたくなった…

俺:激しくお前に逢いたくなった…

休憩入ったら…

そっち行ってもいいか?

猫:ァタシも逢いたいですケド…見つかったらどぉするんですかぁ?

俺:まぁ…見てなって



夜勤帯は各階にロックが掛かり完全遮断される…

オマケに3Fはフロアー廊下など各所に監視カメラが総数8台設置されている(死角なし)

下手な事をすると…

始末書どころか首が飛ぶ…

利用者の安全確保と保身を両立させながら果たして猫に辿り着けるのか…



この日は…

悪魔の囁きに負けた…


続く…
うちの施設の夜勤は2時間休憩を入れて16時間勤務である…


思い返せば、俺と猫の関係が始まったのも夜勤がきっかけである…


男女が閉鎖的な空間で2人きり…

まぁ…

何があってもおかしくない…


忘れもしない今年の1月21日…

22:40頃…

元々仲の良かった俺と猫だが…

些細な事から…
利用者のコップを片付ける、片付けかたずけないで取り合いになり…

強引に引っ張った結果…
俺の胸に猫がスッポリ入る形に…


沈黙…


見上げる猫…

見つめる俺…

薄暗い居室は静まり返り…

間仕切りカーテンが二人を包んでいた…

後は…

唇を合わせるだけ…


5~6秒だったか…


俺は何も猫に告げず、その場を後にした…

続く…
18日に同僚の送別会があった…

俺の計画では…

猫と1次会で抜け出し…

そのまま夜の繁華街へフェードアウトする手筈だった…

が、しかし…

俺の妻が【おたふく風邪】でダウン…

猫も体調不良で送別会はどたキャンという事態に…

神様は見ているようだ…

滅多にないチャンス…


モノに出来なかった

世話になった同僚に恩もあるし…
家事の負担を少しでも減らそうと思い…妻了承のもとに…

開き直って…

子供同伴で送別会に出席した…

職場では【爽やか系】でならした俺も…

2歳半の男の子同伴では…

かなり所帯じみて見えるようだ…

皆から好奇の眼で見られる…



「ふぅ…」

猫に逢いたかったな…



続く…