通勤で、バス停に向かって歩く途中。
前を行く初老の女性が目に入った。
最初は何も気にならなかったのだが、
追い越した後、何となく振り向くと、
同じ向きに歩いていたその女性が
今度は反対方向に歩いている。
何となく違和感を覚え、
ちょっと様子を観察していると、
30メートル位の同じ場所を
行ったり来たり。
よく見ると、手には何も持たずに
そのまま家から出てきたような格好。
もしやと思い、
ちょっと声をかけてみた。
すると、無言で歩き出した。
色々話しかけても、全く無言。
服の裾を指でいじりながら、
一度もこちらを見ずに
無表情で歩き続ける。
余りにもの無表情に少し怖さを覚えた。
もしやが少しずつ
「徘徊かも」に変わり、
心配になったので、
怖がらせないように言葉を選んで
話しかけた。
でも、相手は迷惑だったようで、
小走りに逃げていこうとされた。
交差点で、小走りに
横断歩道を渡っていかれたが、
車の往来が激しい場所だった事もあり、
心配で(お節介だろうが)、
横断歩道の手前から、
遠巻きに様子をみて、
意を決して110番した。
暫く道路越しに様子を見ながら、
警察が駆けつけるのを待ちながら、
ついて歩いた。
が、最終的に、女性はふらっと、
とあるお店の脇にあった民家の
玄関口に入っていった。
警察にもう一度電話して、
女性が自宅とおぼしき場所に
入っていったと伝えた後、
念のためと思い、お店の中に入って
「どなたかいらっしゃいませんか」
と尋ねた。
奥から初老の男性が出てきたので、
経緯をお話ししたところ、
「それは、私の妹です。
妹は失語症で、以前にも警察に
お世話になった事があります。
警察には記録が残っています。
よく出て行く(徘徊する)んです。
ご迷惑をおかけしました。
ありがとうございました。」
と言われた。
少し困ったような、
少しお疲れのようなお兄さんだった。
というわけで、
最終的には何事もなく、
自分もホッとしてその場を後にした。
でも、
徘徊がとても身近な問題に感じられた。
色々と考えさせられた出来事だった。