子供たちが成長し段々親離れしていく




当たり前のことなんだろうけど、私はそう簡単に子離れなんて出来ない







家のことを省みず外に女をつくっている夫


そのどうにもならない私の感情を安静に保ってくれていたのが子供たちの存在だった







子供は私を愛し、頼り、甘え、かけがえのない存在としてまとわりついていた








私はそれを支えとして、それに没頭することによって、自分の存在意義を感じていたんだ







だが子供たちはいつまでも子供ではなかった


どんどん成長していって私は疎ましい存在となっていった








自分の時間か長くなったとき私はとてつもない孤独を怖いくらいに感じた


誰も私を必要としない!大事だと思ってもくれない



話し掛けても生返事でさっさと自分の部屋に行ってしまう

ご飯だって携帯見ながら食べて話しもしない






あんなに「ママ」、「ママ」と言っていたのに



夫は家に帰ってこなくなってきた

















ある朝、朝食準備のためキッチンにたったとき急に体が動かなくなった




耳は聞こえる、見える、なのにピクリとも体が動かない



体が痺れて自分の思い通りにならない







倒れこんでそのままになっているのを娘が見つけ、息子、夫を起こし、私は救急車で運ばれた








入院してから、家族は今までとは嘘のように私に優しく、そばに居てくれた





娘、息子は泣きながら「一人にさせてごめんなさい」と私に謝り




私の代わりかのように夫をなじり、女と手をきらせた







私の病気が肉体の病気ではなく、心の病気だろうと医者に言われたからだ









私は以前のように家族に愛され必要としている


私が居ないとこの家族は成り立たない








私は少しずつ体が動くようになっていき




退院した








家に帰ってから、子供たちは真っ直ぐ帰ってきて私を気遣ってくれた


夫さえも早く帰ってきた








食事時は前のように賑やかで楽しくなった







みんな笑顔で私を見てくれる








元通りになったんだ!


私は幸せだった






なのに
また少しずつ家族が離れていった






夫も女とよりを戻したようだ








私はまた一人になってしまった











ある日、また私の体が動かなくなった






家族はやさしくなった









よくなると、また離れてしまった









そんなことを何度か繰り返した









また、体が動かなくなった




夫、娘、息子が私のまわりに集まってきた






このあと救急車が呼ばれ、私はまた家族の手厚い介護で幸せに浸れる








夫達が何かヒソヒソ話しをしている









三人が目をあわせ、頷きあっている





娘が立ち上がり、タオルを持ってきた






息子がそのタオルを水で濡らし軽く絞り夫に渡した






夫が私に近付き、タオルを広げた



あぁ、顔を拭いてから救急車呼ぶのね?






違った







私の顔に絞りきれてないタオルが置かれた




苦しい息が出来ない!

ねえ外して!手も足も動かないの!声も出ないのよ!








家族の声が聞こえる


「もういい加減にしてほしいわ。」

「こうなれば俺達が優しくすると思ってんだよ、ふざけんなって!何回やったら気が済むんだって。」



「しばらくこのままにしとけよ、完全に死んでから電話するからな


また動かなくなって倒れたときにたまたまタオルが顔に掛かったようだ、こう言うんだぞ。」







「わかってるわ。」

「わかってる。」









私は殺される、家族に



愛した、愛している子供と夫に









おかしなものね








バラバラになった家族が









私を殺すことにひとつになってるなんて









苦しい



「この患者さんですね?家族に殺されそうになって植物状態になってしまった、っていう。」









「そう、もう殆ど死にそうになったとき、罪の意識を感じた家族三人が




顔に掛けたタオルをとって救急車を呼んだんですって。


でも、この通り奥さんは植物人間になってしまい




旦那さんと子供二人は後悔に苛まれて

気がおかしくなってしまって



精神病院に入ってるそうよ。


どちらも回復はないだろう、って言われてるわ。」









「悲しすぎる結末ですね、、。」












「この患者さん見るたび、家族ってなんだろうって思うのよ。


優しい顔してるでしょ?見るたび切なくなるの。


もし意識が奇跡的に戻ったらどうなっちゃうんだろう


ナースとして思ってはいけないことなんだろうけど


どうかこのまま眠っていてね、その方があなたのためよ、って思ってしまうのよ。」









「ほんとに優しい顔ですね、もしかしたら凄く幸せな夢を見ているかもしれませんね、


家族と仲良くくらしてる、っていう夢を。」







「そうだといいわ、それがせめてもの救いだわね。




さ、そろそろお昼よ。薬配る準備しましょう。」








「はい先輩!」














終 メモ











今回のパターン別怖い話いかがでしたか!?








ではまた パー