男は分かれ道に立っていた
姿形も若く
あの時に戻っている
ああ神様ありがとうございます![]()
男はくるりと踵を返すと、自分のふるさとに戻った![]()
もう逃げたりしない
自分の生まれた場所で頑張るんだ![]()
男はがむしゃらに働いた
少しでも生活のためになるように![]()
家族で働いても生活は楽にはならなかった
それでも嫁をめとり
子供をもうけ
必死に働いた![]()
年を取り
親兄弟を看護し見送っていった・・・
子供はみんな貧乏を嫌がり
田舎を嫌い
巣立っていった・・・
もっと年を取り
妻を看取った・・・
一人になった・・・
こんなはずじゃなかった![]()
働きずくめの一生なのか![]()
男は祈った
神様お願いです![]()
もう一度やりなおさせてください![]()
男は目を瞑り必死に祈った
目を開けた
何も変わっていない
そうだ![]()
あの分かれ道に行けば
また変わるかもしれない![]()
男は急いで
しかし年を取った男はヨボヨボとしか歩けなかった
ハアハアと息を切らせながら、あの分かれ道に立っていた
もう一度
目を瞑り必死に祈った
神様お願いです![]()
もう一度やりなおさせてください![]()
男はそっと目を開けた・・・
何も変わっていない・・・
男はヘナヘナと座りこんだ
ああ神様![]()
こういうことなんですね・・・
何度やり直しても
私の人生はこうなるんですね・・・
独りになってしまうんですね・・・
これが私の人生
これが私の運命なのですね・・・
でしたらお願いです![]()
どうかもう休ませてください
私にはもうなんにも残っていないのです
どうか安らかな眠りを私に与えてください![]()
とうとう男は
そのまま草むらに倒れこんでしまった
男の痩せた胸が
段々上下することを止めていった・・・
終 ![]()