同じ夢を何度も見る ![]()
私は仰向けで、水の中に沈んでいく
それが海なのかどこかなのかわからない
目は開いていて見てはいるのだが
何しろ水の中から見上げているので
ぼやけていてハッキリ見えない
だが誰かが
男か女かわからない誰かが私を上から覗きこんでいるのがわかる
そして私はその人を見ながら沈んでいくのだ
苦痛や怖れは感じない
そこにあるのはとてつもない絶望感と寂寥感だった
春の陽射しを感じるようになってきたある日 ![]()
ドライブに行こうと夫を誘った
珍しいこともあるもんだと夫は笑い出かけた
しばらく車を走らせ、人通りのない山道に車を停め、夫とブラブラ歩く
春が近いとはいえ、まだまだ風は冷たい
だが間違いなく春は近づいてきており
凍り付いていた川も所々溶け始めてきている
私は橋から身を乗り出し指をさして言う
「ねえ
魚が泳いでるの
見てよ
」
夫が、『 どれどれ 』と言いながら私の真似をして覗きこむ
今だ![]()
私は素早く夫の背後に回り込み
夫の両足を掬い上げ一気に橋から落とした
夫が藻掻きながら流れていく
私は急いで下までかけおり、必死に岸に泳ぎつこうとしている夫に手を伸ばした
夫も手を伸ばした
私は夫の手を掴み引き寄せると
ためらわず夫の顔を水の中に沈めた
しばらく藻掻いていた夫はダランとなった
『奥さん、こんな時に悪いんだけど話整理させてね
橋から覗きこんだ旦那さんが落ちてしまって
奥さん慌てて下まで降りていったけど
もう…、ってことになるかい
』
私は自分もぐしょ濡れのからだをガタガタ震わせながらうなずいた
『奥さん気の毒だったねぇ。
今の時期アソコは水かさ増すし、流れ早いからねぇ
人通りもないし…。』
わかってる
だからこそ計画したのだから
『奥さん、気を落とさないでね。
旦那さんの分も生きていくんだよ
生まれてくる赤ちゃんのためにもね。』
おまわりさんがそう言い
婦人警官が厚い毛布で私を包んでお腹を撫でてくれた
『全てうまくいったわ、はいこれアナタの分よ。』
私は分厚く膨らんだ封筒を女に渡した
『ありがとう、こんなにうまくいくなんてね
』
女はいそいそと封筒をしまい満面の笑みで言った
この女は夫の浮気相手だった
夫が浮気しているのはわかっていたが一時的なもんだろうと見てみぬふりをしていた
案の定夫はすぐ飽きたらしい
だがその捨て方がひどく女は恨んだ
しかも一度夫との間にできた子を中絶し
また妊娠したのに、だ![]()
女は半狂乱になり我が家に怒鳴り込んできた
夫は不在だった
私は最初こそ女とまくし立て合ったが
お互い喚きながらも話すうちに意気投合してしまったのだ
私も妊娠しているので女の気持ちはよくわかった
悪いのは夫だ、と![]()
だが夫に言ったところでどうにもならないことはわかっているし、愛情なんてなくなっていた
だからこの計画を二人で立て、実行したのだ
あの場所には女も来ていた
もし夫が助かりそうになった時、女も私を手伝うためだった
「じゃあね、お互いいい子を産みましょう
」
そう言い左右に別れた
もう会わない約束をして…
あの夢![]()
沈んでいく私は、私の《良心》
深い深い絶望感と寂寥感と共に沈んでいった《良心》だったのかもしれない
それを見ている私は《現在の私》かもしれない
それでいい、後悔はしない
私はそっとお腹を撫でる
この子のために……
私は腕時計を見た
そろそろ薬が効いてくる頃だ
あの女に
私は隙を狙って女の飲み物に薬を入れた
心臓発作を起こすものだ
妊婦だから与えるショックは大きいだろうから確実に殺せるし、痕跡も残らない
夫は憎い![]()
だがあの女はもっと憎い![]()
あの女のお腹の子もだ
それが『性(さが)』
というものだろう
突然胸に激痛が走った
え![]()
また激痛が走り思わず座り込む
やられた![]()
あの女も同じことを考えていたんだ![]()
苦痛で私は倒れこんだ
道行く人々が駆け寄り
『大丈夫ですか
』
と私の顔を覗き込む
薄れゆく意識の中それらがぼやけて見える
あれは正夢だったのかもしれない ![]()
終 ![]()
。。。。。
以上パターン別怖い話いかがでしたか![]()
あなたが気になったのはどのパターンだったでしょうか![]()
それではまた機会がありましたらお目にかかりましょう![]()