ー ホントに
今行っていい
ー
私と鈴木さんの家は車で数分の距離だ
今すぐなんて、よほど切羽つまっているんだろうね![]()
「…いいよ。」
ホントに数分で彼女はやってきた
私は封筒にも入れないむき出しの壱万円札を鈴木さんに渡した
『ありがとう、必ず返します
』
そう一言言うとそそくさと帰っていった
ドアを閉め、リビングにもどって椅子に腰掛けた
酔いはすっかりさめていた
冷蔵庫から缶ビールを出して開けた
半分くらい一気に呑んだ
ちっとも酔えない、却って頭が冴えてきてしまう
私の胸の中はいろんな思いがぐるぐる回っている
鈴木さんがなぜ壱万円必要だったか、そんなことはどうでもいい
なぜ私に借りたか、だ
そして、返すのか
だ![]()
以前にも他の人から貸してほしいと言われたことがあった
一人はお世話になっていた方で断りきれず、十数万円夫に内緒で貸した
ハラハラしたがキチンと期日に返ってきた
だが、その後その人は家庭を捨ていなくなった
サラ金から借りて返せなくなり逃げたのだった
一人は先輩でいつもやさしく仕事を教えてくれた人だったが
寸借詐欺というのだろうか
細かいの持ってないから、とか
買い物に行くと千円足りないの 三千円足りないの
と言っては借りてそのままだった
その先輩も辞めたが、あちこちから借りてはそのままだったことを知った
終へ