とうとうある日事件が起きたのでございます
シリアが絵画を盗みだし逃げたのでございます
突然シリアが大声で叫んだと思ったら
絵画を抱き抱え、走って外に出ていったのでございます
私をはじめ、屋敷の使用人が何人も取り押さえようとしましたが
とてつもない凄い力で抵抗し、押さえることなど出来ないのでございました
この時の私を睨み付けたシリアの瞳は、狂気そのもので
悪魔が居たとしたらきっとこんな瞳だろう…
そう思わせるほどでございました
騒ぎを聞きつけ駆け付けてらしたトータス様は
狂ったようになってしまわれたのでございます
私の肩を掴み揺さぶり、誰がやったのかと叫ばれ
怖くて「シリアでございます」とつい言ってしまったのでございます
トータス様はそれを聞くと飾ってあった刀剣を引っ掴み、走っていかれたのでございます
この時の瞳も、シリアと同じく、悪魔に魅入られたように感じたのでございます
しばらく経って、シリアがトータス様に殺され
トータス様は捕まってしまわれたのでございます
不思議なことに
あの肖像画はどこにいってしまったのか
あれきりわからないのでございます
今にして思うと
あの絵画が、トータス様とシリアを狂わせてしまったのだろうと
私には思えるのでございます…
あの絵画はどこにいってしまったのでしょう
今もどこかで
誰かを見つめては
狂わせてしまっているのでございましょうか
そう思うとあの肖像画を毎日のように見ていた私には
怖くてたまらなくなってしまうのでございます
私の娘時代のお話でございました…
終
