私の仕事は絵画の部屋を掃除したり
絵画にとって丁度よい温度や湿度に調節したり
ご主人様であるトータス様が居心地よく過ごせるように
シリアと共に模様替えをしたり、などでございました
相変わらずトータス様は、時間の許す限り絵画の部屋に入り浸ってでおいででした
その様子は肖像画の女性に魂を抜き取られていたかのようで
何やらぶつぶつ独り言をおっしゃったり、うっとりと絵画を眺めたり、で
雇われの身でこう申すのもなんなのですが
『不気味』でございました
かくいう私もお掃除の時など、絵画を見ていると
女性の瞳に吸い込まれてしまいそうになり
慌てて目を逸らすことが何度もございました
そのうちシリアまでトータス様と同じ顔つきになっていったのでございます
何か起きなければいいと思っていたのでございます
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