男はみすぼらしい男を追い掛け、尋ねた
おい![]()
あの御方はお前に何と言ったんだ![]()
教えてくれ![]()
みすぼらしい男は何も言わなかった
だがあまりにしつこく言ってくるので諦めたのか
「私と同じ格好をしてあの人のところに行けば
聞くことができるでしょう…」と言った
男は歓喜
、みすぼらしい男にお金を渡し
そのボロ服を手に入れた
次の日
男は、みすぼらしい男から買ったボロ服を来て
講演会会場に入った
周りからの侮蔑と
同情的な視線は痛いほど刺さったが
これで
あの御方からの言葉をいただけるなら
何も恥ずかしくなんかない![]()
講演はやはり素晴らしかった![]()
『人は誰でも平等であり、平等に扱われるべき
その為なら我が命を投げ出すことなど惜しくはない』
やさしさと愛に溢れた言葉を
男は堪能し、またもや感激の涙を流した![]()
講演会が終わり、観衆は出口へと並んでいた
昨日と同じように
あの御方はお見送りをしてくださっている![]()
男はドキドキしながら人の波にのり並んだ
人々には
やはり慈愛に満ちた笑顔をむけるだけで
言葉をかける様子はない
とうとう男が
あの御方の前を通り過ぎる番になった
あの御方が男の傍に寄り
耳元に素早く囁いた・・・
男はふらふらと外に出た
その足元は力なく今にも崩れ落ちそうだった
男の目からは
悔しさと情けなさの涙が流れていた
そんな…そんな…
あの御方がそんな…
男は
みすぼらしい男が顔を紅潮させ俯いていた理由が
何と言われたのか聞いても言わなかった理由が
やっとわかった
あの御方は男の耳元で
こう囁いたのだ
「昨日、『目障りだ、消えろ
』
そう言ったのに
何故また来た
失せろ
』
終
