あるところに
とてつもなく高名で立派な方がいた
皆が思わずひざまずきひれ伏すくらい
位の高い御方だ
その方が、講演を行った![]()
その方を心から崇拝している
一人の男が嬉々として講演会にやってきた![]()
講演は素晴らしく
割れるような拍手で終わった![]()
男は感激のあまり涙を流したほどだ![]()
ふと見ると、みすぼらしい男がいる
ボロかと思うような汚い服
イヤ布をまとっており
見るからに不潔で
ここまで匂ってきそうだ![]()
出口では
憧れのあの御方が皆を見送りしている![]()
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なんてことだ![]()
あのみすぼらしい男が出ていくとき
あの御方が耳元に口を寄せ
なにやら喋っているではないか![]()
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話し掛けられたみすぼらしい男は
嬉しすぎて
なのか
はにかんで俯いているようだ![]()
薄汚れた顔が
ここからでもわかるくらい紅潮している![]()
もしかしたら
自分にも話し掛けてくださるかもしれない![]()
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男は
緊張と興奮で
ドキドキしながら
人の波にのり、出口へと向かった・・・
その御方は
慈愛のほほ笑みを浮かべこそしたが
男に声をかけることはなかった
男は心底ガッカリした![]()
なぜ
あんな汚らしい奴には
親しみ深く話しかけるのに
こんなに崇拝している俺には
話し掛けてくださらないんだろう![]()
まわりの話を
聞くともなしに聞いていると
どうやらあの御方は
みすぼらしいあの男にだけ
話し掛けていたことがわかった![]()
やはりあの御方はご立派だ
みすぼらしいあの男に
あの男にだからこそ
素晴らしい言葉をかけたのだろう![]()
なんて言われたのだろう![]()
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