二人は一軒家に住んでいました

たまたま買い物帰りに、見掛けて、 ああ家ここなんだ、とわかったのです


どうやら二人暮らしのようでした


冬になると、雪掻きが大変なのでしょう


玄関まで人一人がやっと通るくらいの細道がついていました




  年の暮れ


その細道が広々と除雪されています


大きな車が停まっています

そのそばでおじいさんが満面の笑みで立っています


中から一人の男性がやはり笑顔で降りてきて、おじいさんと挨拶を交わしています



あぁ、息子さんか、お婿さんだかが家族で正月を過ごしに帰省したようです


トランクを開けて次々と段ボールを運びだしています食べ物もみえます

そんなにあるのかい?


おじいさんがにこにこと言っているのが、口の動きでわかります


手伝おうと手を出すおじいさんに


いいから中入ってろ寒いぞ



といっている男性


    そうかい?


といいながら、中には入らずにこにこと頼もしそうに見ているおじいさん


玄関ではおばあさんが



  あれまあ


という顔で、これもまた嬉しそうに見ています



私が信号待ちをしている間にみた、この光景


涙が出てきて止まりませんでした


いつも二人でひっそり暮らしていて、お正月を過ごしにきた子供たち


幸せそうに、でもそんな子供たちを持ったことを誇らしげにしている


そんな二人を見ていると


きっと、この時のために毎日毎日頑張っているんだなあ



この時があるから、頑張れるんだなぁ


親はどんなことがあっても子供の元気な顔をみると


それだけで幸せなんだなぁ

と、思うと


親の儚さ、脆さ、そして限りない愛情を感じたのです



そしていつか、自分も年老い、みんな巣立ち、寂しくなっても


子供たちがこうしてやってきて


頼もしくなった子達を眩しく見上げ


幸せそうに笑えるだろうかと考えたのです


お正月の間、その家はきれいに除雪され車が停まっていました



ある日気付いたら車はなく


また人一人通れるくらいの細道になっていました



毎年年の暮れになり、私がそこを車で通るたび


除雪されてるのを見ると


あ、今年もくるんだなビックリマーク

とこちらまで暖かい気持ちになったものでした



よかったね、と。



その後
 

今居る家に引っ越すことになったので



老夫婦がどうなったのかはわかりません



ただ、できれば



子供たちと暮らせていたら


    せめて



子供たちの近くに居られたら


   いいなあ、と思うのです