ある時、患者さんが亡くなられました


いつも感じる身体が引っ張られる感触のほかに



耳鳴りや痛みまで感じました



穏やかな死顔なのですがその中に秘められた思いがつよかったのでしょうか




お体をきれいにさせていただき、ご家族と霊安室にご案内しました





いつものように蝋燭をあげ、線香をたき



いつものように手を合わせ、迎えの車が見えなくなるまでお見送りさせていただきました




そのあと後片付けや自分の仕事をしたのですが



いつになく線香の香がまわりでするのです



それも強く……





気のせいか、と思っていたら



私の傍に来た同僚から



「今回はずいぶん線香の香つよいね」


と、言われました



この人も感じる人なので、やはりそうか…
と、思いました



残業を終えて帰るときも香りました
白衣をきがえました




脱いだ白衣を嗅いでみましたが 
わかりませんでした



我が家に電話をしました
旦那が出ました



線香を三本、仏壇にたいてくれる?



旦那は何も聞かず
「…わかった」
と言いました





まっすぐ家には行かず、二ヶ所寄り道をしてから、約束していた、部活帰りの娘を迎えに行って、それから家に帰りました。そうしたほうがいい、という気がしたからです


患者さんが亡くなったんだ… 
と、車中で言いました



「あぁやっぱりね」

娘がそういいました
ドキッとしました



あとから、娘に

どうしてわかったの?
と、聞いたら

「え?私そんなこと言ったっけ?」
と言われました





なんだかいつもと違う1日でした