私が日勤の時です


朝、みんなより早く行くせいか


更衣室はこの日も私一人でした


ロッカーは一番奥の列


ロッカーに向かって左側が窓、私は端よりのロッカーですので、左側には四人分くらいのロッカーがあります


ですから、私が左を向くとすぐ窓、と言ってもいいくらいです



いつものように白衣に着替えるのですが、朝から疲れているんで


ちょいと後ろのロッカーにもたれながらズボンを脱いでいました



その時です


私の開いてるロッカーの扉に付いてる鏡に


右から左へと、白衣姿の人が通って行くのが映り、


私の前にも右から左へと通っていく感触と、通ったとわかる風が感じられました



正直ちょっとムッとしました




普通、朝の挨拶くらいするのがマナーだし、


まして、前を通るのなら尚更です


こっちからはしないよ!


そんな気分でした


着替えが終わる頃気付いたのです


最初に書いたとおり


私の左側はすぐ、窓と、言って良いほど狭いです


ですから、どんなに真正面を向いていても


視野にはなんらかの姿が映るはずなのですが


姿と言わず、その気配さえ感じないことを…
しかも私の前を通るとしたら、どんなに体を縮こめても間違いなくぶつかります。このロッカーを知っている皆さんならよくわかるとおもいます。


でも間違いなく鏡に映り、私の前を通り、そのあとのすうっと流れていく風さえ感じたのに…



恐る恐る左側を見ると、やはり誰も居ませんでした





誰だったんだろう


私がもし挨拶していたらどうなっていたんだろう



そんなことを考えながら



そして恐怖を朝から感じながら



足早にロッカーをあとにしたのでした