事故を起こす前に運転姿勢を見直しましょう
先日、勤務先の部長に運転姿勢を改めるよう忠告しました。部長(女性)が運転した後に車に乗ると、シートがとんでもなく後ろにある。もう、いい歳なんだからヤンキー乗り止めましょうよ。アクセラレーターとブレーキを踏み間違えるのは、運転姿勢が悪いことが原因なんですよ。
マニュアル・トランスミッション(MT)は踏み間違えを防止する
MTはクラッチペダルがあるので、否が応でも真正面を向いて運転することになります。左足でクラッチ・ペダルと踏み込む必要があるので。
これに対し、オートマチック・トランスミッション(AT)は右足だけで運転できるので、適当な運転姿勢でも運転できてしまいます。
上の図中、左はMT、右はATのいわゆるヤンキー乗りとかヤンキー運転と呼ばれる極端な例です。MT車、特にマツダの車であれば、右足をまっすぐ伸ばした場所にアクセラレーターがあり、ほぼ体の中央にブレーキ・ペダルがあるので、真正面を向いていれば踏み間違う危険はほとんどありません。しかし、ヤンキー乗りの場合はどちらのペダルも体の真正面から大きく右に位置するので、踏み間違いに気づき難くなります。ヤンキー乗りは極端な例としても、AT車は適当な運転姿勢でも運転できてしまいます。よく、ステアリング・ウィール(※)の中央上部に手を載せ、体を傾けて運転している人がいますよね?あんな運転姿勢、そもそもMT車ではできません。
※: 日本では「ホイール」と呼びますが、"wheel"をホイールとは読みません。僕はスケボーも好きですが、スケボーの世界では車輪を「ウィール」と呼びます。「ホイール」は、海外では通じない読み方です。
前エンジン & 後輪駆動はステアリングの持ち方も矯正する
今時は前輪駆動の車ばかりなので、スティック(※)を握ったまま運転する人も多いと思います。前(フロント)エンジン、前輪駆動(フロント・ウィール・ドライブ: FF)車の場合、特に支障はありませんが、前エンジン、後輪駆動(リア・ウィール・ドライブ: FR)の場合は、スティックを握り続けて運転するのはお勧めできません。
※: 英語ではシフトレバーと呼びません、"stick shift"です。米国ではMTを"stick and pedal"と呼びます。
上の動画は、エンジンの始動に合わせてスティックが揺れた様子です。車のエンジンやトランスミッションは、単車(自動二輪)と異なり、ラバーを挟んで車体に取り付けられます。もし単車のように直付けされたら、車内は会話が困難なほど賑やかになるし揺れます。同様な理由で、サスペンションもラバーを介して取り付けられます。このため、エンジンやトランスミッションは、エンジンの動きや路面からの入力に合わせ、車体と異なる動きをします。
上の図中、左がFR、右がFFです。FRはトランスミッションの上にスティックが直付けされるので、スティックが常に揺れます。これに対し、FFはワイヤーを介して接続されるので、スティックが揺れることはありません。このため、FF車の場合はスティックに手を置いたままでも何かを痛める危険が少ないですが、FR車の場合、トランスミッションに繋がるロッドやリンケージを痛める危険があります。
運転免許を取得した頃、親父の愛車(サニー・トラック、通称サニトラ)を運転した時、横着してスティックの上に手を置いたまま運転して、スパナとドライバーで鍛えた腕でドツかれたのは懐かしい思い出。
さて、FR車ではスティックを握ったままでは車を痛めるので、自然と左手もステアリングを握る。いわゆる教習所で習った運転方法、変速する時だけシフト・スティックを操り、それ以外の時はステアリングを握るようになります。9時15分の位置を握るから、こまめに方向指示器を使えます。
FRのMT車を運転してみよう
個人的なおすすめは、マツダ・ロードスター(MX-5 Miata)かサニトラです。どちらも横着な運転姿勢が不可能に近いので。特にサニトラの場合、雑な変速をすると「カキン!コキン!」とトランスミッションから苦情が届きます。シンクロが弱いから、ノン・シンクロの車のように丁寧な変速操作が求められます。こういう車に乗ると、否が応でも運転姿勢が強制されるし、それに慣れると雑な運転姿勢や運転操作に違和感を感じるようになります。
ペダルを踏み間違えたり、ステアリングの上に腕を載せて方向指示器を出さない横着な運転は、FRのMT車ではできません。FRのMT車を借りて運転してみませんか?事故を起こす前に自己の運転を見直すために。