横須賀港は広い

横須賀で米国海軍や海兵隊の軍艦、海上自衛隊護衛艦を見るなら、ヴェルニー公園がある汐入(しおいり)や逸見(へみ)辺りが有名です。しかし、「YOKOSUKA軍港巡り」では、ぐるっと吾妻島(明治までは半島でした)を回ります。米軍や海自の基地は、汐入や逸見だけではなく、吉倉(よしくら)、長浦(ながうら)、田浦(たうら)、船越(ふなこし)と広い地域に跨っています。地図で見ると、基地の密度は沖縄並み。基地問題は沖縄固有の問題ではありません。

 

護衛艦を見られる穴場

京急線「京急田浦駅」から徒歩10分(約800m)ほど海へ向かって歩くと、田浦中学校の南側にある海岸から護衛艦を眺めることができます。その昔、栄光学園(大船に移転)があった場所には自衛艦隊司令部が置かれ、海上自衛隊開発隊群司令部などもあります。

 

海上自衛隊開発隊群など

船越基地

Nikon D5500 + TAMRON製18-400mm, f3.5-6.3、ISO100, f4.5, 62mm, 1/1000s

 

 

今でこそ廃れた感が漂う船越町、田浦町ですが、戦前は帝国海軍のおかげで賑わっていたそうです。今ではトンネルと町内会にしか名前が残っていませんが、「皆ヶ作(かいがさく)」と呼ばれた地域には花街もあったそうです。

 

満艦飾を見よう

週末や祝日、特に祝日は満艦飾が比較的近くから見られるのでお勧めの場所です。

 
海洋観測艦「にちなん」
海洋観測艦にちなん
Nikon D5500 + TAMRON製18-400mm, f3.5-6.3、ISO100, f5, 86mm, 1/500s
 
標的船(艦)
標的船(標的館)
Nikon D5500 + TAMRON製18-400mm, f3.5-6.3、ISO100, f5.6, 122mm, 1/500s
 
対岸の海上自衛隊横須賀造修補給所がある辺りは、いつも珍しい船が浮かんでいます。最近、ずっと停泊している標的船は、いつしか艦砲射撃で海の藻屑となるのでしょうか(ちょっと見てみたい)。
 
ロードスターRF
Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO100, f6.3, 1/400s
 
なお、平日は民間企業の交通の邪魔になるので休日限定ですが、車と護衛艦を一緒に撮ることもできる珍しい場所です。
 

ややこしい地名

京急田浦駅や田浦中学があるものの、この辺りは「船越町」です。現在の田浦町は、船越町の南東にあります。横須賀市に併合される前は、この近辺一帯が「田浦町」。田浦町役場も船越町にあったので、こんなことになったようです。

  • 明治22年(1889年) 浦郷村、船越新田、田浦村、長浦村が合併し「浦郷村」発足
  • 明治37年(1904年) 官営鉄道「田浦駅」が浦郷村大字田浦に開業
  • 大正3年(1914年) 浦郷村が町制に移行し「田浦町」発足
  • 昭和5年(1930年) 湘南鉄道(後に京急と合併)「湘南田浦駅」が田浦町大字船越に開業
  • 昭和8年(1933年) 田浦町が横須賀市と合併し、横須賀市に併合
ちなみに、今でこそ駅名や町名になっている「追浜」は、もともとは浦郷村です。日本帝国海軍がやってくるまでは、大字にすら追浜の地名はありません。浦郷村の「鉈切(なたぎり)」と呼ばれた地域の海岸が「追浜」。ここを海軍が埋め立てて飛行場を作ったため、追浜が地名に昇格しました。