「売れない」のではなく、そもそも「売っていない」のがアメ車

トランプ関税が発動した時、最も困るのは日本の自動車業界。日本から米国への輸出額のうち、自動車と自動車関連部品が3割以上を占めている。困る人たちは、自ら打開策を考えるべきでしょう。

 

好きな外車が買えない日本

日本では、好きな車を選べるのは国産車に限る。例えアメ車が欲しいと思っても買えない。アメ車好きの日本人は少ないものの、いるにはいる。しかし、並行輸入業車がいる大都市圏を別にすれば、ほぼ購入不可能。そんな状況だから、トランプが「日本はひどい」というのは当たり前でしょう。

米国では、自動車メーカーと自動車ディーラーは全くの別会社。だから、ディーラーはあらゆるメーカーと契約して車を売ることができる。これに対し、日本は自動車メーカーの子会社ディーラーが幅を利かせている。独立系のディーラーであっても、日本人お得意の抱え込みで特定のメーカーしか取り扱えない店舗ばかり。かのヤナセですら、今ではインポーターから単なるディーラーに成り下がっている。どうしてここまで排他的で閉鎖的なのか、自工会さん説明してください。

 

トランプとの取引

然る状況ならば、日本の自動車メーカーは、系列の自動車ディーラーに米国車の販売を手掛けさせればいい。逆に、最も避けなければいけないのは数値目標。米国が過去によく日本に課してきた要求ですが、不良在庫を抱えるだけだから最も避けなければいけない。そのためには、傘下のディーラーに米国車のカタログを置くだけでいい。
 
ATS

 

日本人の新車購入は、米国車の輸入に向いている

米国では、ディーラーがメーカーから購入した在庫の中から、買いたい人が即決で購入するのが基本。これに対し、日本ではディーラーで注文を受けてから生産し、納品を待つのが一般的。だから、メーカー系ディーラーにカタログを用意するだけで良い。余計な在庫を抱える必要はない。納車までに半年程かかるでしょうが、国産車でも納品まで4ヶ月程度かかるのが一般的。スズキ・ジムニーは何年も待つ。これが日本の商慣行だから、受注生産で問題なし。米国車を買って並べる必要なし。投資が必要なのは、少数の試乗車と、整備情報やリコール情報を貰うためのオンライン契約だけ。

 

米国車が日本で売れない言い訳にもなる

自由に米国車を買えるのに売れなければ、「残念ながら人気がありません」で片付けることができる。買いたくても買えない状況さえ何とかすればいい。アメ車を自由に買える場を提供すれば、関税を避ける取引に使えるでしょう。

なお、「アメ車は大きくて燃費が悪いから売れない」という報道がありますが、アルファードやランドクルーザーなんてデカくて燃費が悪い車が大人気の理由を併せて説明いただきたい。わざわざトヨタ・タンドラや日産タイタンを輸入して乗っている人までいます。そういう車が好きな人は少なからずいるのが現実です。

 

石破総理 殿

安倍元首相のように、トランプ大統領に気に入られたいですか?簡単ですよ。「米国車を取り扱わない系列店を抱える自動車メーカーについては、米国への輸出を認めない」と言えばいいだけ。難色を示す自動車メーカーに対しては、「御社が25%の関税対象となれば輸出できるよう、米国政府と交渉します。」と言えばいい。