おそらく、費用がかかりすぎるから議論の俎上にも上がっていないのでしょう。でも、「海洋放出を避けるための費用はこれぐらい掛かります」という情報がどこにも示されないのはおかしいと思う。
○トリチウム水の分解
トリチウム水は、ただの水ですよ、水。普通の水と少々異なるのは、水分子であるH20(水素2、酸素1)のうち、水素が普通の一重水素か三重水素(トリチウム)かの違いでしかない。質量は、酸素が16に対して水素が1、三重水素が3。有害なのは放射性物質である三重水素(トリチウム)だけであり、汚染水の約73〜89%は無害な酸素。福島の汚染水の何割がトリチウム水なのか分からないけれど、100トンの汚染水があったら、そのうち80トン以上は無害な酸素。だから、電気分解して無害な酸素を大気放出しても問題ないし、これだけで8割の汚染水を減らすことができる。
○水素と三重水素の分離
通常の一重水素の質量を1とすると、三重水素(トリチウム)は3。ウラン濃縮に使う遠心分離機を使えば、高い割合で分離できると思う。もし、三重水素(トリチウム)の割合が低すぎて費用対効果が悪ければ、放置すれば良い。三重水素の半減期は12.3年だから、気長に待てば、汚染水を電気分解したのちの汚染物質は12.3年ごとに半分に減る。電気分解後の一重水素や三重水素の液化や保存施設のための電力も必要になりますが・・・。
○僕の頭では分からないこと
- 水の電気分解に必要な電力が計算できない
- トリチウム水の割合の資料がない
- 遠心分離機に必要な電力が不明
- 液化保存するための電力や貯蔵コストが不明
汚染水の電気分解に必要な電力や遠心分離機に必要な電力を賄うため、壊れていない原発を使ってはどうだろう。そのコストを国民に示して、「費用が掛かりすぎて増税や電気代値上げがどれだけ必要です」という計算結果を示して欲しいと思います。
では、分離した三重水素(トリチウム)の使い道は?
・・・米軍に譲渡するのが現実的でしょうね。前述の通り三重水素が12.3年で半減してしまうから、戦術核は、定期的に三重水素を補充する必要があります。「平和的利用以外はけしからん」ということであれば、無害になるまでどこかで保存するしかない。核融合炉の研究は、まだ実際に核融合を発生させる段階に達していないので。