このブログは2023年6月から

17回シリーズで投稿した

未来物語(FF)です

必要に応じて加除修正を加え

今年の夏至のこの日を機縁に

再投稿します

縁のあった人だけが

読んでください

 

今のジミンを見てごらん!

キシダを見てごらん!

トーキョー村を見てごらん!

すべて腐り果てているでしょう!

それが分からない人は

TVに感化され 汚染され

メディアに汚染され

善悪が見えなくなっている人だ

 

日本の政治が余りにも腐敗し

日本社会が瓦解の極に達し

殺人を初め凶悪犯罪が

日常茶飯のように氾濫し

国家の体を成さないまでに

堕落してしまったので

神々の瞋りがこの国に

及ぶ前に 再度

全国民への警告の意味から

この17回シリーズを

再投稿します 縁有る人 

心有る人だけが読んでください

 

 

FF(future fiction)

「日本消滅」ーー

そして 「倭(やまと)」創建へ

 

この物語は 来年 再来年 あるいは

それ以降に起こるかもしれない日本の

近未来を想像 半ば予想 半ば予言し

て書かれた近未来物語(future fiction)です

 

登場(予定)人物(2025年現在)

神子 輝夫(かみこ てるお 1967年生まれ58歳)

神子 菫(すみれ 54歳)

神子 健二(輝夫の父)(2023年没享年81)

神子 小夜子(80歳 健二の妻)

卓(すぐる 29歳 輝夫・菫の長男)

渚(なぎさ 26歳 卓の妻)

佐々木千津(80歳 小夜子の友人)

神子 健(たける 卓・渚の長男・当歳)

 

サーチサーチサーチサーチサーチサーチサーチサーチサーチサーチサーチサーチ

 

新たな命

2025年2月22日(土曜) 

湖南と呼ばれるこの地方は 滋賀県の中では幾

分温暖な気候である。それでも3日前に降り積も

った雪は道端のところどころに白と黒の斑模様を

描いている。

この年は例年に比べて温かい日が多く 雪も滅多に

降らなかったのが一挙に20㎝ほど積もる雪になった。

湖畔はあくまで静かな湖面を真っ白に縁どっている。

 

午前5時過ぎ 遥か東の遠方から ドーンという微かな

音がしたのを 住民の誰もが耳にし それで目が覚めた

者も大勢いた。

そして数分後 今度はかなり激しい地震が起こった。

ゆさゆさと家を揺さぶるような横揺れが1分ほど続いた。

どの家にも大きな被害は起こらない程度の揺れであっ

た。

 

ところが神子家では 臨月を迎えていた渚に突然 陣痛

が起こってしまった。もう いつ陣痛が起こっても不思議

ではない時期だったが 地震のショックで目を醒ました

途端に陣痛が起こったらしい。

隣で寝ていた夫の卓を起こし 痛みをこらえながら 「お

義母さんを呼んで」と頼んだ。卓はすぐに事情を察し 隣

部屋の父母の寝室へ飛び込んだ。渚が陣痛と聞いた母・

菫はすぐに台所へ行き ヤカンに水をいっぱい入れてガ

スに火をつけた。

父の輝夫は何をして良いのか分からず ただ黙って食堂の

椅子に腰かけ新聞を見るでもなく見ながら大人しくしている

のが精一杯であった。

そこへ 物音に気付いた祖母の小夜子が自分の四畳半の

和室から出てきて「どうかしたの?」と尋ね 渚が陣痛だと

聞くと 「卓ちゃんね 今からすぐ佐々木さんのところへ行っ

て 玄関を叩いて 千津おばあちゃんにすぐ来てほしいと私

が頼んでいると言って千津さんを引っ張ってきてちょうだい」

と命じた。

小夜子は孫の卓を今でもしばしば「ちゃん」付けで呼ぶ。

2月の午前5時はまだまだ暗い。卓は幾分気おくれしながら

も佐々木家の玄関の引き戸を力を抜いてトントンと叩いた。

インターフォンもあるがそれを使わず 格子状のガラス戸を叩

き続けた。

真っ先に出て来たのは 本人の千津おばあさんだった。嫌な顔

一つせず 千津は「卓ちゃんじゃない。どうしたの?」と訊いた。

「渚が陣痛なんです。祖母が千津さんにすぐ来てもらえと…」と

おろおろしながら答えた。

「えっ それは大変。すぐ用意するから ちょっと待っててね」と

答えた千津ばあさんは家の中へ引っ込んだかと思うと 3分もせ

ずに黒い大きなカバンを持って出てきて 「卓ちゃん これ持って」

と言って卓にその鞄を持たせ 二人とも小走りに卓の家へ向かっ

た。

小夜子と千津は顔を合わせると 「千津ちゃん 朝早くからごめん

ね」「いいわよ あなたと私の仲じゃない!」と一言ずつ交わした。

「お湯は沸かしているの?」「うん 盥一杯分になるようにね」で終

わった。

 

渚の陣痛は一時収まっていた。千津おばあさんのアドバイスで 

一家は渚の寝具を1階の6畳間へ下ろし渚もそこへ移った。

 

待つほどもなく 渚にまた陣痛が起こり 間もなく破水した。

千津おばあさんは小夜子を含め家族みんなに六畳間から出てもら

い 二人きりになって自分がハッハとやってみせながら 渚に呼吸

の仕方を時間の経過に従って指導した。

千津と渚の一対一の真剣勝負の時間が過ぎて行った。

嬰児の頭が出てきてから 千津は額の汗をぬぐおうともせず絶え間

なく渚に優しく声を掛け続け 自らは熟練した手つきで嬰児を徐々に

徐々に外界へ引っ張りだす作業に専念した。

二時間ほどが経過し 渚が「アアぁ」と短く叫んだ瞬間

千津は嬰児を高々と取り上げた。

嬰児は大きな声で第一声を上げた。

無事男児が誕生した。

「おめでとう。元気な男の子よ。」

と千津は渚の耳元へ告げた。

部屋の外で今か今かと待機していたみんなはホッと胸を撫で下ろす

思いで脱力した。

安産だった。午前7時55分になっていた。

何故か 千津おばあさんは自分の腕時計の針をしばらく目で追って

いたが「うん」と頷くと やおら赤ちゃんの臍の緒を切り取った。

千津おばあさんは部屋の外へ向かって「皆さん入っていいわよ」と

声を掛け 次の作業へと移った。

 

可愛い子犬が戯れている絵がプリントされた大きなビニールシートの

上に 卓と渚夫婦が少し以前に百均で買ってきてあったプラスチック

製の大きな純白の盥が置かれ温かい湯が張られていた。

千津おばあさんは手際よく赤ちゃんの頭とお尻を持って温かいお湯の

中に漬け ガーゼで頭から目鼻耳口 そして首と順に丁寧に拭き洗い

し続いて出てきた胎盤も 千津ばあさんは黙ってビニール袋に入れ

「これは私が処理しておくわ」と そばに来て座った小夜子にそっと呟い

た。

小夜子は「ありがとう。ごめんなさい」と言って頷いた。心からホッとした

という表情だった。それは父親の輝夫も母・菫も そして卓自信も同じだ

った。

千津おばあさんは 赤ちゃんの全身を乾いたガーゼの布でよく拭き

三枚重ねたガーゼの産着の上へそっと赤ちゃんを寝かせて そこでやっ

と自分もフーッと一息ついた。

小夜子に言われて菫が用意してきた温かいお絞りを受け取り千津は

初めて額の汗を拭い 冷やしたお茶をおいしそうに一息で飲んだ。

菫は 昔を思い出しながら赤ちゃんを産着でくるみ そっと渚の胸のそ

ばへ寝かせた。 

それから 千津おばあさんは小夜子も菫も居る中で 初乳について渚

に丁寧に説明し 乳首の消毒や赤ちゃんへの乳のふくませ方 頭の

抱え方など自分の孫娘に言い含めるように優しく教えた。

祖母の小夜子を除き みんなあっけにとられて黙って一部始終をただ見

守るばかりであったが……やがて たまりかねて母の菫が口を開いた。

「お義母さん 千津さんはなんでこんなに何もかもご存知で 手慣れてお

られるんですか。お義母さんはそのことを先刻ご承知だったんですね」。

小夜子は千津と顔を見合わせて ニコッと笑うとおもむろに口を開いた。

「千津さんはね 昔は助産婦さんをしておられたのよ。高校を出てから看

護専門学校へ行って ねぇ千津さん 何年ぐらい助産師さんやったんだっ

け? 今は助産婦って呼ばないのよね。」

「そうやね 二十歳の頃からやから ちょうど50年産婆さんやったことにな

るかなぁ」

「半世紀やねぇ 何百人も取り上げたんでしょう?」

「何百人と違う何千人やよ。毎日出産に立ち会うたわけやないから…… 

年に150人ぐらいとして…50年で何人になるかなぁ」

「7500人です」と卓が間を置かずに口をはさんだ。

「卓ちゃん 頭ええんやね。すぐ計算したん?」と千津が笑いながら言った。

「まぁ 習慣ですから」と卓は照れながら答えた。卓は市内にある家電メー

カーの経理で働いている。

「7500人もかぁ」と 千津おばあさんは自分のやり遂げた「偉業」に今さら

ながら感嘆した。

「お母さんと千津さんは 幼い時からの友達やったんやね」と 輝夫が初め

て口を開いた。

「そうよ。千津さんと私は幼稚園へ行く前からの幼友達なんよ。お互い 何

もかも知ってる仲。」と言って 千津さんの方を見て 二人でハッハッハと笑

い合った。

「卓ちゃん 赤ちゃんの名前もう考えてるの?」

「うん 考えてるけど もう一度渚と相談して決めようかなと。お父さん 何か

佳い名前があったら教えてね」と父親へも声を掛けた。

「千津さん お七夜のお祝いするつもりやから その時は来てね」

「うん 喜んで赤ちゃんの顔を見せてもらいに来るわ。楽しみやな」と千津は

心から嬉しそうな顔を見せた。

 

神子家の目出度い騒動はそれで一件落着したのであったが その頃

日本では史上かつてない大惨劇が起こっており しかもそれはほんの

序章でしかないことが間もなく分かった。

北海道からも 九州からも どこからも東京へ通信が出来ない 東京だけで

なく首都圏のどこにも通信が出来ない状態になっていることが徐々に そし

て爆風が広がるように明らかになったのである。

 

<つづく>