俺と、ヒョンしかいない
静かな図書室で
どんなに俺が見つめていても
どんなに俺が想っていても
ヒョンはそんな俺にちっとも気づかない
今日はいつもよりも暑いからか
いつもはぴっちりと閉めている白いポロシャツの第一ボタンを開けて
黒くて艶やかな髪を風にゆらゆら揺られながら静かに本を読み続ける
ビー玉のようなその瞳は俺を写すことはない
振り向かせたくて
気づいてほしくて
わざとヒョンの前に座って
適当に取った本越しにヒョンを眺める
いつもよりも近いヒョンは
本の世界に入り込んでて
やっぱり俺には気づかない
「ねぇ、ヒョン」
「……」
「ヒョンってばぁ…」
「……」
「……ヒョ~~ン」
「……んー?」
やっと返事はしてもらえたものの
本から放れない眼
「ねぇ、ヒョン」
「……なに?」
「俺を見てよ……」
ムスッと剥れて言うと
やっとヒョンは俺を見てくれた
「ヒョンってば……全然俺に構ってくれない」
「はぁ………だから付いてきてもつまんないよって言ったのに」
「ずっとヒョンを見てたのに……俺に気づいてよ」
ヒョンは一瞬固まるが、また短いため息をついて読みかけの本にしおりを挟んで閉じると
席を立って窓際のベンチに座り、俺を手招きした
ヒョンに招かれるまま隣に座ると、
「ほら、おいで」
と、自分の足を叩くから、俺はそのまま寝そべりヒョンの太股に頭を預けた
ん~………すっげー落ち着く………
ふわりとヒョンの細い指で地肌をなぞられ
その小さな手のひらで髪を撫でられて
すっごく気持ちいぃ……
「………可愛い、ジョンイナ」
「可愛いよりかっこいいがいい」
「こうして甘えてくるジョンイナは可愛いよ」
「だから、かっこいいがいいって」
「だから、普段はクールでかっこいいジョンイナが、僕だけに甘えてくれるのは嬉しいし、可愛いよ」
「……」
「機嫌、なおった?」
「………まだ」
「僕、本読みたいのに」
「……ずっと撫でてて。そしたら機嫌なおならなくもないかも」
ヒョンは「なにそれ」と笑うと、また頭を撫でてくれた
ほんとは、いつもは言ってくれないヒョンの本音が聞けて、機嫌なんてとっくになおってたけど
また俺を見なくなるのはイヤだから
わがまま言って、俺に気を引き付けておくと、ヒョンはすんなりとつきあってくれる
そんなヒョンだから、すきだよ
外から流れてくるやわらかな風のせいか
ヒョンの膝枕の心地よさか
それとも、撫でられる手の温かさからか
気持ちよくて
だんだん眠くなってきた
小さな笑い声が聞こえた気がしたけど
すでに夢の世界に入り込んでしまった俺には全然わからない
けれども
意識を手放す前に唇に感じた温もりは
覚えているよ
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甘々カイド (*^^*)
幼馴染みのふたり高校生設定です
(あんまし意味はないかもだけど 笑)
わけわからんくて終わりかた雑な話になってしもた(;゜゜)