抱えた悩み | EXO's World 。… .:*:・'°☆

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カメ更新ですが気長によろしくお願いします





身体も心も
チャニョルを求めてるとわかってから
まともにチャニョルを見れなくなった。



「ベク~!」

「うるさい、来るな、バカニョル」


俺の気持ちに気づかれたくなくて
チャニョルに嫌われたくなくて

俺の勝手な我が儘で
俺に抱きついてくるチャニョルを冷たくあしらう。


チャニョルを避けるようになってから
しばらくして
チャニョルも俺から遠ざかっていった。


まあ、当然だよな。


だけど  舞台上やメンバーの前では
気づかれないようチャンベクを"演じて"いた。


チャニョルも心配かけさせないようにと
黙って合わせてくれていた。



その優しさが俺をもっと苦しめる。



なんで、ほっとかねーんだよ。

なんで、優しくすんだよ。

なんで、、。


こんなにもチャニョルがすきなんだろう。






「ベッキョン」


リビングでメンバーがゲームで賑わってる間、自室でベッドに座って俯いてると、ギョンスに呼ばれて顔を上げた。


「わっ?!」


ひんやりと冷たいなにかを目に充てられて視界が真っ暗になる。


ギョンスに押し当てられたのはすぐそこの自販機で買ったであろうアイスコーヒーの缶。



「ギョンス!おま、なにす「なんて顔してんだよ、ばか。」


ギョンスを睨もうとしたら、思いっきり眉間にシワを寄せて哀しそうな目で睨まれていた。


手に取った缶をもう一度目に充てられた。



「こうしてれば見えないから


無理して笑うなよ


見てるこっちもツラいよ」



その一言で張っていた糸がぷつんと切れたように涙がぼろぼろ零れた。


泣きじゃくる俺をギョンスは黙って抱きしめて背中を擦ってくれた。



俺は溢れる涙を



チャニョルへの想いを



枯れるまで流し続けた。




















「落ち着いた?」


濡らしたタオルを手渡してくれるギョンスに頷いて、受け取ったタオルを泣いて腫れた眼に充てる。



「ここ最近  俯くことが多くなってたから心配してたんだよ。」


さすがギョンス

思わず唇を噛みしめる。


「チャニョルとなにがあったんだよ?」


え?!
なんでチャニョル絡みだと気づいた?

思わぬ問いに泣き腫らした顔をギョンスに向けると、困ったように、でも優しい笑顔で俺を見ていた。


「まったく。練習生の頃からずっとふたりといる僕がわからないとでも?」


う………


「いっつも一緒にいたチャンベクが表向きだけになってしまったのはどうして?」


うう………

こいつには敵わない……



黙って俯いて、ほんとのことを話すべきかどうか悩んだ。


いくら同い年で仲がいいからって
俺の抱えるこの悩みは
そう簡単に打ち明けられるものじゃない。


ギョンスに話しても大した変化はないとわかってはいるけども、地球がひっくり返るくらい周りからの目が、接し方が変わりそうで怖い。


「……無理には聞かないよ。でも、この状況が長引いてみんなに気づかれる前に解決しなよ。」


「………うん。」


そう、だよな。

たとえ、チャニョルから逃げ続けていたって同じグループである限り、離れることなんてできない。

こうやってメンバーにも迷惑をかけるだけだ。


少しの間沈黙が流れて
俺は俯いたままいつの間にか握っていた自分の手を見つめた。




「………ねぇ、ベッキョン。」


俺の隣に腰かけて先程までは優しかった声が、急にワントーン低く微かに震えた声で呼ぶギョンスを不思議に思って見ると、天井を見上げて目を潤ませていた。


ギョンス?
急にどうしたんだよ?


「僕ね、最近おかしいみたいなんだよね。」

「……えっと?」


唐突すぎて
話がまったくわからない。


「僕ね、メンバーのひとりを好きになっちゃったんだ。」


ドキッ


「同じ男なのに、、そいつを見るだけで、触れられるだけでドキドキしちゃうんだ。………………ふふ、おかしいよね。」


ギョンスが、俺と同じ悩みを抱えていただなんて…………。


「…………。」

「でも、好きなんだ。もう、どうしようもないくらいに。」

「………告白、しないのか?」

「しないよ。告白して空気が悪くなるより、今のままがいいかなって思ってる。けど、そう思ってても気持ちが揺らぐよね。ときどき思わずすきって言っちゃいそうになるときがあるもん。」

「………そう、だな。」


その気持ちは痛いほどわかる。

俺だってチャニョルに抱きつかれただけで言っちゃいそうになる。


「……………ありがとう、ベッキョン。」

「え?」

「僕の話を聞いてくれてありがとう。ほんとは誰にも言わずにいようと思ったんだけど、なんだかベッキョンには聞いてほしくて。」

「……なんだそれ。」


ギョンスは眉を下げたままこっちを見て笑って見せた。


あ……………。


瞼が閉じられた拍子に、一粒の滴がギョンスの頬を伝って落ちてきた。


俺がなにか言う前にギョンスは袖で拭うと、立ち上がって俺の頭をわしゃわしゃと撫でた。


「さ、夕飯にしようか。」



ギョンスが出ていった後も
俺はその場で閉じられた扉をぼーっと見ていた。



ギョンスと俺は同じ悩みを抱えてて
ギョンスは俺に話してくれた。


けど、ひとつだけ。
肝心なことを聞いてない。


いや聞いてないんじゃない。
怖くて聞けなかった。



ギョンスの好きな人って
………だれ?