「ギョンス!」
呼ばれて振り返ると
いつも君が僕の傍にいる。
君は僕にとって大切な友だち………なんだよね?
[ Oops ]side D
今日はジョンインに会える日。
この頃、彼に会うのを楽しみにしている自分がいる。
名前を呼ぶと嬉しそうに目を細めて甘えてくるところが可愛くて。
あの、ノラ猫を手懐けた感じが堪らない。
ジョンインと一緒にいるようになってからわかったこと。
僕にダンスを教えてくれるときは優しく時々厳しかった。悪戯好きの甘えん坊で、いつも僕を驚かしては蕩けた瞳を細めて甘えてくる。
最近はそんな君にドキッとしてしまって、そんな自分に恥ずかしくなる。
今だって、暇さえあればいつの間にかジョンインのことを考えてしまってる。
僕は人見知りなところがあるから、きっと久々に楽に話せる友だちができたから嬉しいんだ。
そう思うことにして、店員から注文したサンドイッチが入った袋を貰う。
約束をしてるわけではないけど、彼と食べようと思って、いつもよりも多めに買ったお昼。
僕ってば浅はかだなぁ。
今会えるかわかんないのに。
ましてや、もしかしたらジョンインは家で食べてきたかもしれないのに。
今さらそう思ってもすでに買ってしまったんだから仕方ない。
会えなかったらチャニョルにでもあげようかな。
そう思ってたときだった。
店から出てすぐに知った顔が目の前を通り過ぎて行って、思わず彼を呼んでしまう。
「あれ?ジョンイン?」
名前を呼ばれた彼は振り替えって、僕を見るなり吃驚した顔になる。
「ギョンス!」
「どうしたの?そんなに急いで。」
僕の質問になんでか答えを探して目を泳がすジョンイン。
?
くきゅるるるー
「え?」
「あ。」
突然ジョンインのお腹が鳴って、ジョンインは慌ててお腹を抑えた。
恥ずかしそうに俯く彼が可愛いと思いつつ、それなら一緒に食べれることに気づいてすぐさま半ば強制的に誘ってみる。
「お腹空いてたんだね。それならサンドイッチあるから一緒に食べようか。」
ジョンインの手首をとって隣に並んで歩く。
振り払われることなく、ジョンインに拒まれなかったことに内心ホッとして事務所の休憩室へ向かう。
休憩室に入ってジョンインをソファに座らせてから彼がいつも飲んでいる缶コーヒーを自販機で買う。
「ギョンスのお昼なのに。」
「いいよ。いつもより多めに買っちゃったからあげる。それに、」
人のことを思う優しいジョンインが微笑ましくて、缶コーヒーを手渡しながら隣に座る。
「ひとりで食べるより、お前と一緒に食べるほうが楽しくて好きだ。」
ジョンインは一瞬目を丸くさせてすぐにくしゃって笑うと「へへっ」と照れ始める。
その間にラッピングをとってサンドイッチを渡す。
ドキン!
するとジョンインは受け取らずにそのままパクリと食べて、僕がジョンインに食べさせる状況になる。
吃驚していると、
「美味い!」
そう言って舌で唇についたソースを舐める姿は獣が舌舐めずりしてるみたいでまたドキッとする。
あれ?
僕ってばどうしてこんなにドキドキしてんだろ?
「ギョンス、」
ジョンインが僕の袖を引っ張ってはやくちょうだいと口を開けて待つ。
子どもみたいなジョンインに仕方なくもう一度サンドイッチを口に運んであげる。
幸せそうに口いっぱいにほうばる姿に、さっきのドキドキはなんだったんだろうと考えてしまう。
急に近づいたジョンインの顔は、かっこよくて、思わず息を飲んでしまった。
唇を舐める仕草にときめいてしまった。
なに?
僕ってばどうしたんだろ?