side L
今まで初対面で彼のように扱われたことがなくてどうしていいかわからない。
俺にはミンソクという男がわからなかった。
物静かな感じなのに、意外と物事をはっきり言っていろんな顔をする。
すぐに手を出すし、暴言も吐いたりする。
わからないから、きみをもっと知りたい。
「ルハニヒョン、ミンソギヒョンのこと気になるの?」
ミンソクを見てると、横にいたセフンが思いがけないことを聞いてきた。
「は?」
セフンを見るとニヤつきながら続けた。
「さっきからミンソギヒョンのことばっかり見てるよ。そんなヒョン見るの初めてだよ。」
「どういうことだよ?」
「いつものヒョンなら気にもとめないのに、ミンソギヒョンにだけは興味をもってるから珍しいなって。」
セフンはこの中で唯一俺の冷たい一面を知る人物で、ふたりで話すときのセフンは俺には容赦ないことを言う。
たまにこんな風に意味ありなこと言うから、言い返す言葉が出てこなくて困る。
「!そんなことねーって。」
「ま、いいですけど。明日もサッカーやりますよね?」
「うん。」
「じゃあ、ヒョンがミンソギヒョン誘ってくださいよ。」
「なんでだよ?」
「べつに?どうしてそんなこと聞くんです?もしかして、ヒョンって人ひとり誘えないんですか?」
腹黒セフンは生意気な言い方で俺を挑発する。ムカつく奴だな~!
「ふん、この俺に誘えない相手などいないの知ってて言うか。見てろよ、オ セフン。」
横目で睨むとセフンは口角をあげた。
「じゃ、早速お手並み拝見ということで。ほら、他の人に誘われる前に誘わないと知りませんよ。」
とセフンが顎で差した先には、ミンソクがサッカー面子に囲まれていた。
なんだかムッとして、俺はミンソクの後ろに行って和に入っていった。
口々に誉められてはにかむ彼がなんだか可愛いと思いつつも、なぜかモヤモヤとする。
「なぁ、今度やるときはこっちのチームな!」
「ダメ!ミーちゃんは俺と組むって決まってんの!」
ある面子の一人の一言にムッとして、彼を取られないように肩に腕を回して引き寄せた。
「なんで?」
自分の行動に自分でも驚いたけど、それ以上に彼の思いがけない返答に戸惑った。
なんで?って………わからない。
ただ、俺と一緒じゃないのがイヤだった。
何も答えられずにいると、彼はするりと俺から離れて荷物を持った。
「どっちのチームでもやるときにまた誘ってくれればやるよ!じゃ、またね!」
結局誘えずにミンソクはみんなに手を降って帰ってしまった。