ねぇ、ベク。
気づいてる?
俺のすきと
ベクのすきが
同じ意味を持ってるってこと。
side C
あのとき、ベクは拒まないで抱きついてくれた。
俺が膝の上に乗せて腰に手を回しても、抵抗しなかった。
俺の話ばかりしちゃって、どうして泣いていたのかは聞けなかったけど、元気を取り戻せたみたいで、また笑ってくれた。
気づいてるかな?
君はもうすでに、俺に恋してるってこと。
普通なら拒否するし抵抗することを、ベクは当然のように受け入れてくれた。
もっと、もっと俺をすきになって、
もっと、もっと君をすきになるから。
俺だけを見て、
君だけを見てるから。
だけど、はやく気づいて。
俺にサインをちょうだい。
「ベク!ベーク~!」
歌詞と睨めっこしてるベクの隣に座ってこっちを向いてもらおうと何度も呼ぶ。
「ベク~!」
「………。」
「ベーク~!」
「………。」
「ベクベクベクベクベクベク、」
「だァあああ!うるせって!」
「だって、呼んでも反応してくれないんだもん。」
拗ねてみせると呆れたように溜め息をついて、見ていた歌詞を机に放り投げた。
その紙に目を移すと、ベクのパート部分だけ赤いペンでメモ書きなどが書かれていた。
「あれ、これ、ベッキョンの?」
タオがフルーツを口に含みながら俺の隣に座って歌詞を読みはじめた。
タオは眉を寄せて首を傾げて歌詞からベクに視線を移した。
「ベッキョン、ここ歌えないの?」
机に紙を置いてペンだらけの部分を指差して尋ねた。
「……ちょっとね。」
「なんで?」
俺はどきどき思う。
「好きな人思い浮かべて歌えばいいんじゃないの?だって、これ、告白するようなものじゃないの?」
タオのストレートさには敵わない。
ベクはそう言われて目を見開いて驚いていた。
そして、俺を見て頬を赤く染めはじめた。
「ねぇ、ベク。なんで、俺を見たの?」
そんな姿見ちゃうと、もう待てないかも。