その強い瞳に
暖かい唇に
触れたら最後
逃げることなどできない
僕のすべては君の手のなか
[ 気づいちゃった ]side T
僕とセフナがキスするようになったのも、僕がセフナを好きになったのも、あのとき。
いつもお風呂に入るときも夜寝るときも一緒に居てくれるセフナ。
その日は凄く疲れててベッドに入るとすぐに寝てしまって、夜中に目が覚めると、セフナに腕枕をしてもらいながら抱きしめられていて、心臓が飛び上がるほど驚いた。
近くで気持ち良さそうに眠るセフナの寝顔を見てたら、どきどきしてきちゃって、恥ずかしくなって離れようとしたらもっと引き寄せられた。
『ちょ、セフナ?!』
いつから起きていたのかわからないけど、焦る僕を見て悪戯っ子みたいに笑うセフナ。
『タオどうしたの、顔が赤いよ?』
僕のほうがヒョンなのに、僕の鼻先をつついて反応を楽しんでいる。
『もぅ、からかうなよ!』
『僕の寝顔を勝手に見た罰だよ。』
つついていた人指し指が鼻先から下に下ろされて、唇にあてられる。
セフナの視線の先は僕の唇に移されて、僕の心臓はまたうるさく響く。
ドキン、ドキン、
『セ、フナ?』
ドキン、ドキン、
『んー?』
ドキン、ドキン、
あぁ、ダメだ。
『もう寝よ、』って言うだけなのにちゃんと言えない。
セフナと視線が合って、僕はその強い瞳に吸い込まれるように見つめることしかできなかった。
なんでだろ、なんでこんなにどきどきするんだろ?
いつも見ているセフナの顔がすぐ近くにあるだけで、頭のなかで太鼓が鳴り響いて、セフナだけしか見えなくなる。
耐えきれなくなって僕から俯いて視線を外すと、額にやわらかい皮膚が触れた。
ばっと顔をあげると、予測していたかのように両手で顔を包まれて、ちゅっとリップ音がなる。
『おやすみ、タオ。』
セフナは放心状態の僕に満足気に微笑み、腕枕していた腕をはずして背を向けた。
一瞬のできごとに頭がついていかず、キスだと気づいたときにはセフナは規則正しい寝息をたてていた。
その夜は眠れなくて、朝になっていつもよりはやくリビングに出ると、はやく起きるメンバーに驚かれた。
だって、しょうがないじゃん!!
心臓がもう、限界だったんだもん!!!
でもセフナは朝も仕事中もいつも通りでなにも変わってなくて。
夢だったのかな?って思うけど、セフナの唇のぬくもりが僕の唇に残ってて夢じゃないと教えられる。
うぅ~、もう、なんなんだよォ~??
『タオ、どうしたの?頭いたいの?』
頭を抱えて悩んでいるとイーシングーグが顔を覗かせてきた。
『ねぇ、グーグ。僕ね、昨日の夜セフナにキスされてからセフナ見てるとドキドキしておかしいの。どうして?』
イーシングーグは僕の発言に目を見開いて驚いていたけど、すぐに優しい笑顔になって頭を撫でてくれた。
『タオはセフナにキスされてどう思った?』
『どうって?』
『イヤだった?』
………イヤ?
『イヤ………じゃなかった。嬉しかった。』
"嬉しい"
自然と口に出てきた答え。
……あぁ、そうか。
『僕、セフナのこと好きなんだね!』
そっか!そっか!
だから、ドキドキしていたんだね!
『グーグ、ありがとー!!♡ 』
イーシングーグはニコニコ笑って頑張ってねと応援してくれた。
「タオ、苺食べる?」
「うん!」
手に苺がいっぱい入ったカップを持って来たセフナに抱きついて差し出された苺をぱくっと食べる。
「うん!美味しい!」
セフナは喜ぶ僕にキスを落とすと「うん、美味しいね。」って苺を食べながら悪戯っ子みたいに笑うから、僕はまた好きになる。
ねぇ、セフナ。
僕もセフナを虜にしてみせるから!
覚悟してね ♡