side S
「セフナ、キスしたい。」
バニラの香りを漂わせて僕に寄ってきたタオ。
タオでも誘うのは恥ずかしいのか、その目は潤んでいた。
あー……ヤバい。
さすがに、それは反則でしょ?
でも、僕からはしないで瞼を閉じてタオからするように催促する。
「え、」
「したいんでしょ?」
「うぅっ……。」
「ほら、キスして。」
上を向いて誘う。
躊躇いながらタオの手が僕の首筋を通って腕がまわされて、触れるだけのキスをする。
「もっと…。」
逃げるタオの腰辺りを捕まえて目で誘う。
タオは耳まで真っ赤にさせて恥ずかしさで手で顔を隠していた。
あぁ、可愛い。
至近距離でその顔はないよ。
いくら表情が顔にでない僕でも、理性保てないよ。
それに、悪戯心が疼いて意地悪したくなる。
「タオー?」
「ムリ!できないよォ!」
「じゃ、キスやめる?」
「それは嫌ッ!!」
「じゃあ、してよ。」
タオは僕からは本当にしてこないとわかると、またゆっくりと顔を近づけて唇を重ねる。
何度も重ねて、僕の唇を舐める舌がなかに入ろうとしたところでわざと唇を閉じる。
「セフ、ナ、くち、開けてぇ、」
必死なタオが可愛くて、可愛くて。
キスだけで熱を持ちはじめた自身にわざとタオの腰を落として擦る。
「ふぁあああ?!」
途端にタオから甘い声が漏れる。
「タオ、キス止めないでよ。」
「だっ、セフナが、ひゃっ、んんぅ!」
ふふっ、可愛い。
ほんとに堪らない。
タオを眺めているとふと、テーブルにミルクキャンディが置かれているのに気づいた。
「タオ、後ろの飴、ちょうだい。」
「ふぇ?」
途中で止められて熱を帯びた瞳がもの足りなさそうに欲する。
「飴、舐めたい。」
タオは膨れながらも飴をとって差し出す。
「両手塞がってるから、タオ、ちょうだい。」
「えぇ?ぁ!」
ゆっくりとタオのシャツに手を伸ばして、口を開けて待つ。
タオが手で入れようとすると顔を反らした。
違うよ、タオ。
「セフナ?」
「一緒に舐めよ、タオ。」
それでようやくわかったタオはハニカミながら飴を自分の口に入れて、唇を重ねた。
僕とタオの間で舌を絡めながら飴が行き来して、なくなっても深く重なり続ける。
互いの唇がふやけても、タオはもう一度飴を口に含むとまた絡めてきたから、僕もそれに答えてあげる。
タオのバニラの香りと甘いミルクに包まれて、互いが満足するまで僕らは求め続けた。
甘い甘い、タオとのMilky Kiss