花の冠を着けて撮影するタオは、
あまりにも可愛くて、
綺麗だった。
[ Lock on ] side S
タオは撮影に集中しいて、僕が見ていることにまったく気づかない。
「口、開いてるぞ。」
隣に座るルハニヒョンが僕の頬をつつく。
「そんなに可愛い?」
不思議そうに頬杖をついてタオを見てから僕に視線を移す。
「可愛いですよ。」
だって、僕のすきな人だから。
どんなタオでも可愛いですよ。
「ふーん……。ま、シウちゃんがいちばん可愛いけどね♪」
あぁ、はいはい。
ルハニヒョンがミンソギヒョンしか興味ないのはみんなが知ってますよ。
ルハニヒョンは唯一タオの外見と中身のギャップに惹かれない人。
「俺にはシウちゃんに引っ付く害虫パンダとしか思えない。」
言わなくても知ってますよ。
だから、わざわざ、タオの悪口を言わなくてもいいですよ。
「……で?」
「?なんです?」
「タオと寝たんだろ?どうだったの?」
………なにを言い出すんだこの人は。
「あ、違うぞ!そっちのことを聞いてんじゃなくて、タオとつき合うことになったのか?って聞きたかったんだよ!」
それならそうと、最初からそう言えばいいものを。
「つき合っていませんよ。」
「は?」
「それに、この前はまだ食べてませんから。キスまでしかしてませんよ。」
「は?」
驚くのも無理ないか。
でも、ほんとのこと。
KとMが合同のときは、一緒にお風呂に入ったり寝たりしてるけど、重ねることは一切していない。
それに、
「僕もタオも、告白してないですし。」
「はぁあ?!」
驚きすぎて立ち上がるルハニヒョンは、思ったより自分の声が大きかったことに気づいてすぐに口を抑えて座りなおした。
「……ほんとです。けど、これからタオに気づかせますよ。」
あのバカパンダはクリスヒョンとイーシンヒョンともキスしてるから、どこか勘違いしている。
「はぁ……お前らって、ほんと、なに考えてんのかわかんない。」
わからなくてもいいですよ。
強いて言うなら、友だち以上恋人未満な状況であるけど、それは今だけ。
これからが本番。
タオの視線はまだカメラに向かっている。
すぐに僕に振り向かせてあげるよ、タオ。
ずっと、僕しか見えないくらいに。
君は僕のだから。
全力で君を奪うから、覚悟してね。
