●ジャマイカ人のスペンサーの経験●
僕はアメリカのテキサス州で伝道した。
そこでは、ポイントシステムが行われていた。
求道者を見つけてレッスンを一回すると、1ポイントもらえる。
もし、教会員からの紹介で1レッスンすると3ポイント。
誰かがバプテスマを受けると7~10ポイントもらえる。
バプテスマした人にフォローのレッスンをすると1ポイント。
毎週日曜日の夜に電話がきて、その週のポイント合計は何点だったか報告する。
もし、一番ビりの点数だったら伝道部長に呼び出されてお叱りを受ける。
だからみんな、必死にどんな汚い手も使ってポイントをゲットした。
90歳のボケ老人にバプテスマを受けさせたりして。
ある時、14歳の少女と15歳の少年が二人で住んでいる家に行き着き、彼らを教える機会があった。
本来なら、若すぎるからバプテスマを勧めるよりも、きちんと親の所へ戻して
教会に行きながら生活を正すように教えるのが大人としての義務なのだが、
伝道部長を初め、周りの宣教師たちも、僕も、バプテスマを受けさせることしか頭になかった。
だから、とりあえず、一緒に住んだらだめだ、と言い聞かせて少年を家から追い出し、
かわいそうにみすぼらしい納屋で生活させた。
そしてバプテスマを二人に施した。
でも、今思えば、14歳と15歳の子供たちを結婚させるのではなく、
ちゃんと教育を受けさせるべきだったと、悔やんで仕方がない。
このポイントシステムは、僕にとっては非常に辛いものだった。
人の人生を変えるよりも、自分がポイントをもらって上位に立つことに重きを置いていた。
僕は2年間で20人以上のバプテスマは見なかったけど、50~100のバプテスマを施した宣教師もいた。
考えてみると、あり得ないよね。狂ってる。
⑲「ウソをつくように勧める宣教師」へ続く