ブラック14
 「ブラック・フォーティーン(Black 14)」とは、アメリカワイオミング大学フットボールチームに所属していた選手たち14人のことで、人種差別を行っていたモルモン教会が運営するブリガム・ヤング大学(BYU)チームとの試合中に抗議の意を表明しようとした人たちです。
 BYUはスタジアムに黒人とゴリラの絵を飾ったり、黒人と試合した後は競技場をお清めしたりしたそうです。

当時、モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)は黒人信者を差別していました。真面目に信仰している男性には誰でも与えられ
はずの「神権=神の代理人として働く権能」を黒人には与えていなかったのです。
 よって、黒人の父親は自分の子供にバプテスマを施すことも、赤ちゃんの祝福を与えることも、病気の時に癒しの儀式を施すことも出来ませんでした。いちいち白人等の信者に頼まなければならなかったのです。

 黒人は女性も男性も「神殿」に入ることは許されていませんでした。末日聖徒にとって、「神殿」で儀式をしたり結婚することは来世で神となる為に必要不可欠でした。

 でも、黒人は前世でイエスとサタンが戦った時に“雄々しく戦わなった霊”だからのろわれている、天国に行っても他の人たちに仕える召使いとなるのだ、と教えられました。

 又、黒人と白人の結婚は禁じられていました。
実は、BYUに学生として来た黒人信者たちは、リーダーたちから「白人と付き合うのはやめなさい」と忠告され「だったら誰と結婚すればいいの?ここには黒人がほとんどいないのに」と困ってしまったそうです。

 実は私もBYU出身ですが、黒人の学生は2人しか見たことがありません。あれから30年経ちましたが、未だに黒人学生は全体の1%にも満たないそうです。

 さて、話を戻しますが、1969年10月、ワイオミング大学のフットボールチーム14人はBYUとの試合で黒いアームバンドを腕に巻いて試合に臨むと決めました。

 ところが試合の前日、選手たちはイートン(Eaton)コーチに呼び出され、チームから解雇され、奨学金も取り上げられてしまいました。大学側はコーチの決断を支持、これがメディアに取り上げられられ、世間を騒がすこととなりました。
 
 この後、アメリカ中のあらゆる人種のアスリートたちが黒いアームバンドをつけて「ブラック14」たちの解雇に抗議の意を示しました。 

 これがモルモン教会の人種差別に人々の注目を集めることとなります。BYUと対戦するほとんど全ての大学のあらゆる部門のアスリートたちが試合で抗議し、BYUと対戦しないようにと自分の大学に訴えたのです。

 スタンフォード大学は「今後BYUとスポーツの試合をしない」と公表し、ワシントン大学もBYUアスリートとは一切縁を切ると決めました。

 解雇されたにも関わらず、14人のフットボール選手たちの数人が大学学位を習得しました。しかし、「面倒を起こすやつら」とみなされ、仕事を見つけることは難しかったといいます。
そのうちの1人、ジェリー・ベリー(Jerry Berry)は色々な場所でスポーツニュースのアンカーを務めました。
  2002年、ワイオミング大学に「ブラック14」を記念する像が建てられました。
モルモン教会が方針を変える
1978年、末日聖徒イエス・キリスト教会は黒人に「神権」を与えることにしました。しかし、過去に自分たちが黒人を苦しめたことに対して「私たちは完全に間違ったことをしてしまいました。本当に申し訳ない」と謝罪していません
「私たちは他のキリスト教から誤解され、迫害を受けてきた」とモルモン教は信者に教えます。でも、結局は自分たちだって他の人たちを差別して苦しめて迷惑かけてきたんですね。人のことより、自分たちのことを反省した方が良いですね。