太陽を約6年周期で回るハートレー彗星(すいせい)に、地球の海の水と同じ特徴を持つ水があることを、独マックス・プランク研究所と米カリフォルニア工科大など欧米のチームが突き止めた。地球の水の起源は氷を持った彗星などが衝突してもたらされる「天体起源説」と地球の岩石からわき出る「内部起源説」。長年の論争に一石を投じそうだ。5日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 

 研究チームは、欧州のハーシェル宇宙望遠鏡で昨年11月17日、ハートレー彗星を観測し、彗星の表面を覆う氷の成分を分析。水素と、中性子が1個多い重水素の比率が地球の海水とほぼ一致することを突き止めた。

 

 すでに観測・分析された百武彗星やハレー彗星などの彗星の氷は地球の水に比べ重水素の割合が2倍程度多く、地球の水と特徴が異なっていた。ハートレー彗星と同タイプの彗星が地球に衝突し、水をもたらした可能性が高まったといえる。

 

 渡部潤一・国立天文台教授(太陽系天文学)は「彗星によって、これほど特徴が異なるのは衝撃的だ。地球の水の起源論争が再燃するだろう」と話す。【永山悦子】

 

 




毎日新聞 2011年10月6日 東京朝刊