◆Ques.選択的夫婦別姓導入が、なぜ議論されているの?
◇Ans. 「勤務先で旧姓」女性増え 賛否二分、法案提出へ曲折も
Ques.
選択的夫婦別姓が導入されそうだという報道があったけど、どうして今そういう話になってるの?
Ans.
千葉景子法相が法案の早期提出に意欲を示して話題になりましたね。現行の民法では結婚すると、男女どちらかが姓を改める必要があります。夫の姓を選び、妻が改姓する夫婦が圧倒的で、昨年は96%を超えています。ところが女性が結婚して改姓した後も勤務先などで旧姓を通称として使うケースが増え、現実に即した法整備が必要だとの声が90年前後から上がり始めました。婚姻時に夫婦が同姓とするか別姓とするかを選べる選択的夫婦別姓は、女性の社会進出が背景にあると言えます。
Ques.
これまでどんな動きがあったのかな?
Ans.
法相の諮問機関・法制審議会が議論を重ね、96年には選択的夫婦別姓を導入する民法改正を答申しました。法務省は改正案の国会提案を模索しましたが、自民党内から「家族の結びつきを薄める」と反対論が噴出し、これまで法案提出を断念していたのです。民主党は野党時代に何度も議員立法で導入案を出し続けてきたほか、今年発表した政策集で導入方針を掲げています。政権交代で議論が加速する可能性があります。
Ques.
昔から日本は夫婦同姓と決まってたの?
Ans.
江戸時代には農民や町人は姓を名乗ることが禁じられていました。法務省によると、明治期前半は妻が実家の姓を名乗る夫婦別姓でした。ところが1898年に施行された民法は「家」の制度を導入し、夫婦がともに「家」の姓を名乗ることになりました。戦後の改正民法も「婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の姓を称する」と定めました。
Ques.
来年には法案が成立することになるのかな?
Ans.
実は、そう簡単に進みそうにはありません。06年の内閣府の世論調査では、容認派は36・6%、反対派は35・0%で競り合いました。民主党内にも賛否両論あるとされ、法案提出となれば、潜在的な反対・慎重論が表面化することは十分に考えられます。来年は参院選もあります。世論を二分するテーマをあえて選挙前の国会に提案するか、疑問視する人もいますね。(社会部)
毎日新聞 2009年10月14日 東京朝刊