小柄だが、クールで理路整然とした口調に迫力がある。当初、クラスター爆弾の禁止を渋った日本政府代表を、世界各地の国際会議でつかまえては食い下がり、方針転換を迫り続けた。

 非政府組織(NGO)「地雷廃絶日本キャンペーン」運営委員。リマ、ウィーンなど条約を討議する会議すべてに参加した。日本政府が3日、禁止条約に署名したのも、彼女らNGOの粘り腰なしには考えられない。「やっとここまできた」と表情を緩める。

 「同じ人間なのに、何でこんなに違うの?」。活動の原点は幼少期。父の仕事の関係で小中学校時代をアルゼンチンで過ごし、絶望的な貧富の差を目の当たりにした。「リモーン、リモーン」。市場でレモンを売る少女の声が耳に残る。カナダの高校で民主主義や市民の権利を学び、大学院時代、国連でも働いた。

 「社会的弱者は不幸を宿命として受け入れ、声も上げられない。理不尽を何とかしたい」。テレビ局勤務を経て研究者に。97年に同キャンペーン設立に参加。対人地雷禁止条約締結の舞台裏もつぶさに見た。

 今年8月のグルジア紛争ではクラスター爆弾が使われ、新たな犠牲者が出た。条約署名は「通過点に過ぎない」と気を引き締める。

 小さいころから物作りが好き。夢は「ぬいぐるみの家の大工さん」。その手で、非人道的兵器のない社会を作り上げたい。【佐藤賢二郎】




【略歴】目加田説子(めかた・もとこ)さん(47)
 中央大教授(NGO論専攻)。著書に「地雷なき社会へ」など。NHKの目加田頼子アナウンサーは実姉。





毎日新聞 2008年12月4日 0時00分