7党首討論:年金財源で応酬 消費税率も論議




七党首討論会を終え、笑顔で手をつなぐ(左から)綿貫民輔・国民新党代表、志位和夫・共産党委員長、小沢一郎・民主党代表、安倍晋三・自民党総裁、太田昭宏・公明党代表、福島瑞穂・社民党党首、田中康夫・新党日本代表=東京都千代田区の日本記者クラブで11日午後3時17分、兵藤公治撮影 安倍政権発足後初の本格的な国政選挙となる第21回参院選は12日、公示される。これに先立って主要7党首による党首討論会(日本記者クラブ主催)が11日、東京・内幸町の日本プレスセンターで開かれ、争点の年金問題や「政治とカネ」問題などを巡り論戦を展開した。

■年金問題

 年金問題では、年金記録漏れよりもむしろ抜本的改革と財源問題に議論が集中した。安倍晋三首相(自民党総裁)は、消費税率を5%に据え置き、消費税収13兆3000億円の全額を基礎年金部分の財源に充て、「年収1200万円以下」の所得制限をつけた上で最低保障年金を支給する民主党案について、「財源などは極めていい加減な制度」と批判。公明党の太田昭宏代表も「65歳以上の人がすべてもらうと22兆円かかる。多くの人がもらえないことがはっきりした」と迫った。

 これに対し民主党の小沢一郎代表は「13・3兆円をすべて財源として最低保障年金に充てることで賄える」と反論。さらに、政府・与党が基礎年金の国庫負担率を09年度までに3分の1から2分の1に引き上げる方針を示していることについて、財源問題を追及した。

 首相は歳出削減と経済成長戦略による税収増で「消費税を上げなくても済む状況に持っていきたい。それでも足りない場合は、今秋の抜本税制改革で議論していく」と税率引き上げに含みを持たせた。共産党の志位和夫委員長は「消費税を上げる可能性があるなら、参院選で国民に審判を仰ぐべき」と首相の姿勢を批判した。

■政治とカネ

 赤城徳彦農相の事務所費問題では、社民党の福島瑞穂党首が領収書の公開を求めたのに対し、首相は「議員がルールを作った以上、それをしっかりと守っていくことで、自らを律していく」と語り、改正政治資金規正法にのっとって処理すべきだとの考えを示した。

 記者から「一国の首相が(赤城農相の政治団体の)光熱水費が月800円と弁明しなければいけない状況は嘆かわしい」と追及されても、「みんながルールを決めて、国会で政治資金規正法を変えて、(経常経費が)5万円を超えたら(領収書)添付を義務付けようというふうにした」と「ルール」を強調し、防戦に努めた。小沢氏は「政治とカネ」問題に全く触れなかった。

■選挙の位置付け

 首相は「責任政党とは、政権を担うこととは何か。できることしか言わないことだ。私が約束したことは必ず実行していく」と述べ、政権与党の実績をアピールする戦略を鮮明にした。年金記録漏れ問題でも「社会保険庁を解体し、公務員制度を改革していく。それが私の戦後レジームからの脱却だ」と関連法の成立を強調。

 小沢氏は「年金信任選挙」と位置付け、「自称『100年安心』の与党か、抜本改革の民主党か」と訴えた。勝敗ラインは、首相が明言しない方針を示していることから議論にならなかったが、小沢氏は「今回、与野党逆転を実現しないと、将来そういう機会はほとんどない。最大のチャンス」と野党で過半数獲得を目指す考えを強調した。

 また参院選で与党が過半数割れした場合、民主、共産、社民の3党は、野党出身の参院議長の選出に共闘する考えを示した。【佐藤千矢子】

毎日新聞 2007年7月11日 21時54分 (最終更新時間 7月11日 23時14分)