中学のころ、私は美術部員だった。


美術なんて本当にどうでもよかったけれど、何かしら必ず部活に入らなければいけないルールだったので、しぶしぶ美術部にした。


本当は運動部に入りたかったけれど、エホバの証人の母が許してくれないから。


運動部に入ると、学校の友達との時間が増えて悪い影響を受ける。


運動部に入ると、集会に間に合わなくなるかもしれない。


運動部に入ると、夕方の奉仕や週末の奉仕に出られなくなる。


運動部に入ると霊的な事柄が疎かになる。


…という理由だったと思う。


小6の終わりと中1のはじめころ、クラスメイトが何部にするかで盛り上がっているときは、無言で気配を消した。


運動が得意な私が美術部に入ることは、クラスメイトにとっては意外だったようで、少し驚かれたけれど、絵が好きだし…と言って誤魔化した。


当時の私なら陸上を選んだと思うけれど、エホバの証人の親が許してくれないだなんて惨めなことは誰にも言いたくなかった。


それに、当時は半分はエホバを信じていた。


だから、春も夏も秋も冬も、毎日毎日、部活をするクラスメイトの脇を通って家に帰った。


そして、集会や奉仕に出た。


この惨めな気持ちと言ったら。


学生時代もそうだし、大人になってからも、部活を出来なかったというのは、私の強い強いコンプレックスになった。


でも。


もう、終わりにしたい。


本当に、もういい加減、29年にわたって抱いてきた、エホバの証人2世だから部活ができなかった…という部活コンプレックスを終わりにしたい。


学生時代にはもう戻れないけれど。


放課後に友達と部活に夢中になるということはできないけれど。


気持ちに決着をつけたい。


今からできることをしたい。


というわけで。


私、未経験の41歳、先月から地域のバレー部に入りました。


経験者の中に未経験者が入り込んだので、本当にご迷惑おかけしてしまうのだけれど。


下手で、ルールも知らなくて、恥ずかしいんだけど。


でも。


部活したかったな…っていう気持ちを抱えて人生を生きるよりかは。


取り返したい。


部活?バレー部!いま頑張ってる最中だよ!


そう言えるように。


頑張ることにしました。