普通の塾の普通の元塾長の個人的な意見であることをご理解ください。

ここでは、中学受験に関する基礎の基礎について述べたいと思います。「中学受験ってなに?」という方向けの文章ですので、すでに調べていらっしゃる方にとっては当たり前のことばかりだと思います。
 
まずは、高校受験にはない、中学受験独特の難しさを3点述べます。
 
1.受験しない子がいる
お友だちの中に受験しない子がいるということは、「みんなは遊んでいるのに自分だけ塾があるから遊べない」という事態に陥るだけでなく、受験の知識のないお友だちから心ないことを言われる可能性もあります。中学受験を決めたときには「1校だけ受験してダメなら公立」とお考えの保護者も多いのですが、受験の時期になると多くのお子さまが「公立に行ったらみんなにバカにされる(どこにも受からなかったと思われる)から絶対に行きたくない」と考えるようになります。「Aさんは難関校だけ受けて不合格、Bさんは倍率が1倍を切る中学を受けて合格」ということになっても、受験をしない多くの子どもは「学校に偏差値のレベルがある」ことすら明確には理解できていませんので、「Aさんは不合格でBさんは合格だから、Bさんの方が頭がいい」と見なされることもあります。
 
2.学校の勉強だけで受験するのはほぼ不可能
高校受験の場合、公立の問題は教科書内容が理解できていればまず解けます。(独自問題を出している場合は除きます。)なので、学校の授業をしっかりと理解していれば、本来は塾に行かなくても公立トップ校に合格することができますし、少数ではありますが自学自習で合格している子もいます。(最近は塾に行くことが前提のようになっていますのでかなり難しいことですが…)
しかし、中学受験の場合、小学校の教科書を理解していても解けない問題がたくさん出てきます。(教科書内容を理解していれば、それを発展させて解くことはできるのですが、限られた試験時間の中でそれをやるのはまず無理だと思います。)なので、塾が不可欠ですし、塾と学校でやっている内容も違ってしまいます。また、学校によって試験問題の傾向がかなり違うため、受験校の選び方や対策の方法もよく考えなければなりません。
さらに、学校の授業と塾の授業では進め方が異なります。
学校の授業は、
①問題提示(これはどうなるかな?)②考えさせる③意見を発表したり教え合う④先生の解説⑤類題(宿題になることも)
という形で進み、1題にしっかりと時間を掛け、子どもたちに解き方を考えさせます。
それに対し、多くの中学受験の塾の授業は
①先生の解説→類題(宿題)
で進んでいきます。
限られた時間の中で進めていくには仕方ないことなのですが、1題1題に掛ける時間も少なく、家での宿題や復習を通して定着させることが求められます。そのため、学校ではよくできるお子さまでも、塾はやり方が違うということに気付かないと、どんどん分からなくなってしまうのです。
 
3.いざ始めてみると途中で止めることが難しい
「公立には進めるのだから、嫌なら途中で止めればいい」とお考えの保護者も多いのですが、いざ始めてみると、塾のお友だち(多くは学校でもお友だち)に「諦めたと思われたくない」「負け組だと言われたくない」というお子さまのプライドもあり、途中で止めることが難しくなってしまいます。また、どんどんお金が掛かっていくので、保護者の方も「これだけ掛けて止めるのはもったいない」という思いになっていってしまいます。
高校受験と違い中学受験は、止めるという選択肢があります。「もっと遊びたい」「もう勉強イヤ」と瞬間的に思うことは誰にでもあります。そんな時に「止める」という選択肢があれば、それに飛びついてしまう子もいるでしょう。そして、瞬間的に思っただけなのに簡単に止めることを選んでしまえば、いつか後悔するでしょうし、「止める」という選択肢があることで自分に甘くなってしまいがちです。そのため(だけではなく、金銭的な問題もあると思いますが)塾は、中学受験を途中で止めるべきではないという気持ちを生徒さんに持たせようとします。(モチベーションを高めるために必要なことなのですが…。)
途中で止めることは、予想以上に難しいことなのです。
 
次回は、中学受験を決めた理由について述べようと思います。