2023年度の酪農家戸数が、過去最低を更新しました。


飼料価格が高止まりするなど、生産コスト水準が上がっており、酪農経営が悪化するなか離農が止まりません。


酪農家は、コスト高を生乳の販売価格に転嫁させたいところですが、2024年度の生乳価格については、乳業メーカーとの交渉が妥結に至らず長期化しています。


4月1日、生乳の5割を生産する北海道のホクレン釧路地区家畜市場で離農セールが開催されました。


酪農家は、年度末を区切りに離農するケースが多く、4月初めの市場は離農セールと呼ばれます。


今回は、釧路地方4農協の酪農家約20戸が飼っていた453頭が競りに出されました。


これは昨年の1.5倍にあたります。


生乳を出荷する農家数は、2023年度末で13,100戸(沖縄県を除く)となり、過去最少を更新しました。


減少幅もこれまで4%台だったのが、2022年度は7%、2023年度は5.9%と拡大しています。


乳牛用の飼育用配合飼料の平均小売価格は、2023年度末で、1トン97,230円と、2022年度末よりは2%安くなりましたが、2021年度末に比べて15.2%高くなっています。


生産者団体と乳業メーカーによる牛乳価格交渉は長期化しています。


通常、新年度が始まるころには決着し、今年度も据え置きで妥結する方向でした。


ところが、円安など経営環境が急変し、一部で生産者側に値上げを求める動きが出ていて、価格が決まらない事態になっています。


生産コストに占めるエサ代は、2年前までは5割程度でしたが、今は7~8割になっていて、牛乳の価格が上がらないと牧場をやめるしかないと生産者は嘆いています。


しかし、牛乳価格が乳製品に反映されれば、末端の消費を鈍化させます。


ウクライナ侵攻に伴い飼料価格が高騰した2022年と2023年に2度に渡り生乳価格が引き上げられた際、店頭価格にそのまま転嫁されたことで、牛乳の販売が落ち込みました。


さらなる消費の後退を避けるため今回の価格交渉は据え置かれるとみられていましたが、想定以上に円安が進み、生産コストの先高観が交渉を長期化させています。