前回でも触れましたが、日本の労働生産性が低いことの要因の一つに

求める利益水準が低いのではないかと・・・・。

この点に関しては資本コストに対する意識が弱いことにもよるようです。

 

日本のほとんどの企業は成長に必要となる資金を間接金融(借入金)で

調達してきましたので、支払利息に対する感覚は厳しいのですが、

直接金融(増資)のコストについてはいまひとつピンとこないものです。

 

最近は、ROE(株主資本コスト)を企業の目標指標としているところが多いですが、

まさに資本コストを正面からとらえた指標となります。

 

企業の資金調達におけるコストは、借入金では『支払利息』であるのに対し、

株式に対しては『配当&値上がり益』を負担します。

 

ここで、配当だけでないことに注意が必要となります。

資金の出し手である株主にとっては両者が期待収益となるからです。

 

一般的に資本コストという場合、企業の借入金と株主資本での資金調達を

合わせて負担する加重平均資本コスト(WACC  %)をいいます。

 

ここで、株主資本コストが難しいですね。

株主資本コスト(%)=リスクフリーレート+リスクプレミアムレート

で表されます。

 

リスクフリーレートは、10年物国債レートが採用されます。

リスクプレミアムレートは株式投資に対するリスクとして研究機関等から

発表されていますが、数十年間の平均から約5%と言われています。

 

結局、資本コストとしては5~6%程度ということになるのでしょう。

結構、高いコスト負担と言えます。