平成23年3月5日(土) 晴れ
確定申告シーズンも後半戦になっています。
会計士という職業柄、自分の確定申告はさっさと済ませていると思われがちですが、
なかなか手が付かずいつも申告は最終日になっています、面倒くさいものです(笑い)。
ところで、最近よく、業績の悪い中小企業の建て直し計画の中で、
過去の粉飾決算分での税金の還付を受けようとする話が聞かれます。
仮装経理による更正の請求というものです。
過去の申告を訂正するケースには2通りあって、
訂正で税額が増加するときは『修正申告』で追加納付を行い、
減少するときは『更正の請求』で還付を申請することになります。
一般的に『更正の請求』は確定申告期限から1年以内に行うことができますが、
単純な計算間違いなどのようなケースを除き、
税務当局の調査結果によって決定が行われます。
特に過去の粉飾決算での納付税額の還付を請求するとなると、
会社更生法などの適用によるものであれば別ですが、
任意の再生計画では、更正の請求が認められるかどうか???ではないかと・・・。
手続き上も、まずは確定決算で過去の粉飾額を損失処理しないといけないので、
金融機関との協議がうまくできていないと難しいでしょう。
そのうえ、粉飾分の損失処理は損金にならないことにも注意が必要です。
また、更正の請求が認められたとしても、過年度の過大納付税額が単純に還付されるわけでなく、
5年間は各年度の確定税額の範囲で税額が控除されるだけで、
5年後に未控除税額があれば還付される制度になっています。
そもそも粉飾決算は会社が勝手にやったことで税務行政とは別モノでしょうし。
粉飾によるそれなりの恩恵?を受けていたとも考えられますし・・・・。
まあ、実態は利害関係者を騙しているんですが(これは会社法等の問題でしょう)。
中小企業は金融機関との取引が生命線であることから、
銀行には赤字決算を出せないと、粉飾決算を行っているところが多くあるようです。
しかし、一度粉飾をしてしまうと、以後その解消は非常に困難だという現実があります。
企業経営の厳しさです。
税金はコストであるとともに、社会への分配額でもあります。
適切な負担、分配ができる経営に努めたいものです。