第2話 さきとまき、そしてうじきさん
彼女達は同じ高校の1年生。
クラブに所属していない僕の唯一の後輩の知り合い。
友達の高校生バンド「コルセア」のライブや、
その当時人気のあった”うじきつよし”率いる子供バンドの
コンサートでよく顔合わせてたのがきっかけで話すようになった。
コルセアは子供バンドのコピーバンドで、
高校バンド合戦では、吉川こーじ率いるバンドとグランプリ争いするぐらい
うまいバンドだった。
さきとまきはコルセアのベース担当”東”にあこがれてたんだ。
子供バンドのコンサートがあるときは、必ずチケット取りのために
KAWAI楽器に徹夜で並び、演奏が始まると、
警備員を蹴散らして一番最前列で狂ったように騒いでる僕を
”うじきさん”と呼んでいた。
二人ともめちゃかわいかった。
一年の中でもかなり異色の二人で、目立っていた。
生徒からも先生からも。
家に帰ってどきどきしながら彼女達からの手紙を読んだ。
「短い付き合いだったけど、どうもありがとう。
共通1代頑張ってね。」
って簡単な内容だったけど、わざわざ用意してきてくれたことに対して
熱いものがこみ上げてきた。
最高だよお前達。
共通一次の次の字が間違ってたけど・・・
ちょっとは勉強しろよ。
その後少なくても5年は大切に机の中に仕舞ってあった。
あの手紙が僕の人生にここまで影響するとは
そのとき思っても見なかった。