師走。
一年が過ぎ去ろうとしているのと同時に、私の中でも何かが過ぎ去ろうとしていた。
私はずるい女。
Fと別れられないくせに、I君のことも求めている。
この気持ちは、おそらくこの世でI君しかわかってくれない。
同じ状況、同じ思いにあるのは、I君だから。
仕事納めの日。
お互い、何も話さずに職場を去った。
年末年始のお休みも、Fと過ごす。心ここにあらず。なのに、Fに甘えてばかりの私。
それなりに、楽しく過ごしていた。
31日カウントダウン。
1月1日に入った瞬間、『あけましておめでとう。今年もよろしく。』メールが1通。
I君からだった。
うれしいのに、切ない・・・
『1月3日は空いてる?どっか遊びに行こうよ。』とお誘いのメール。
戸惑いながらも即答。
もちろん、会いに行った。
ビリヤードをして、お酒を飲む。すごく楽しいはずなのに、どこかぎこちないふたり。
休みの間、何をしていたのかお互いに何も聞かない。というよりも、聞けない。
カラオケに行った。
話したいことはたくさんあるのに、大人しい2人。
会話がないから、本当ならもう帰るべき。
でも、一緒にいたかった。
歌っていれば、時間稼ぎになる。
何もかもをさらけ出して、正直になれば楽になれるかもしれない。
でも、正直にすべてを話してしまったら、これで終わってしまうかもしれない。
お互いの心の中は、きっとそんな気持ちだったと思う。
明日からは、また仕事が始まるね。
また、毎日顔を見れるんだね。
私は、正直にならなければいけない。
思いを全て打ち明けよう。
それは、新年の誓いだった。