彼は、青年海外協力隊で2年間セネガルにいたことがある。

その時の話を、彼はいつも楽しそうに話をしていた。

私も一度青年海外協力隊に入ってみたいと、真剣に考えたことがあり、

彼の話は興味深かった。


彼は、仕事の休憩中に必ず私の部屋に寄ってくれていた。

声をかけてくれることが、うれしく、

喫煙所に向かう彼が訪ねてくることが待ち遠しかった。

セネガルでは、人を呼ぶときに『プスッ』という音を

口で鳴らして呼ぶらしい。

彼は、私をいつもその方法で呼んでいた。

声をかけてくる彼の姿は、今でもはっきりと目に浮かぶ。

携帯番号も交換して、毎晩連絡を取るように。


そんな日々が続いて、ある夜に渋谷バグースへ行く。

二人とも足取りが軽く、ビリヤードを教えてもらいながら、

少しお酒も入り気分よく遊んでいた。

食事をしている途中に、またセネガル時代の話を楽しそうに話す彼。

そんな時彼は『一緒にアフリカに行こうか?』と。

彼には付き合っている彼女がいる。

彼女よりも私のことを思ってくれているのだろうか?

そんな期待と不安が交差しながらも、本当のことを追及できず、

そして私自身も追及されるのが怖く、

結局、その段階で言葉を濁しながら、また次の話題へと移っていった。

帰り道、いつもどおりに手を振ろうとしたら、

彼が急に私の体を引っ張り、キスをしようとした。

とっさのことで、私は思いっきり拒否をしてしまった。

これだけ、気を持たせておきながら、

彼を私のものにしたいと思いながら、

彼を突き放してしまった。

心のどこかで、私たちは「いけない」ことをしているような気がしたから。


to be continued....