雨で気分が乗らないので(笑)、今日は栽培方法に関する研究的な話。
実は、南蛮玉の自生地について調べていて、「うーん」ということになった。以前にも書いたように、南蛮玉の自生地は他のディンテランタス5種類からは東に大きく離れて飛び地みたいになっており、細かく言うと、たった2カ所のごく狭い地域にピンポイントで分布している。自生地での個体数は1000株程度というから、土地開発や乱獲によって数を減らしているとはいえ、元々かなり偏った分布をしているということだ。で、問題なのはその場所である。南蛮玉はディンテランタスの中でも難物扱いになっているので、私はてっきり、よほど特殊で過酷な環境に自生しているのではないかと思っていた。ところが実際の分布域の気候条件はというと、乾燥度に関しては、むしろ他の5種類よりも降水量がやや多い地域であった。そして、南アフリカは東部に行くほど海抜高度が高くなる関係で、夏場の気温は逆に他の5種類の自生地よりも低めであるらしい。ここまで見ると、「それほど水やりを辛めにする必要はなさそう」ということと「夏の暑さには弱いから難物なのでは?」ということが導き出されるわけだが、ちょっと待てよ、と思い至った。どういうことかというと、実は南蛮玉の分布域は、リトープスで言うと富貴玉あたりと重なっているのである。富貴玉は、別に栽培困難種ではない。富貴玉系といったら、うちにはセリーゼとダブネリーがあるが、夏場でも(我が家では当然のことながら)休眠させずに普通に育てていて何の問題もない。第一、気温が低めといっても、リトープスの栽培困難種が自生している西部海岸地帯の冷涼さ・特殊性と比べたら、それこそ誤差の範囲である。こういう地域に自生しているメセンが、どうしたら難物になるというのだろう(惑)。
というわけで、(いつものことだがw)私なりに勝手な結論を導き出した。要するに、やはりネックは太陽光線の光量なのではないか。前述のように南蛮玉は、他の5種類と比べれば夏の高温に弱いという特徴があり、だからこそ歩留まりが悪くなるのだろう。そこで夏場の高温を避けるため、昔ながらの栽培者であれば「他の5種類よりも更にガチガチの夏季休眠をさせればいい」と発想するに違いない。その結果、「ものすごく断水し、ものすごく遮光する」ことになると思われるが、ディンテランタスが他のメセンよりも光量不足に弱い(可能性が極めて高い)ということは、当ブログで繰り返し指摘していることである。ましてや南蛮玉は、全6種類中2種類しかない「表皮に緑点(または模様)のないディンテランタス」なのであり、同属の中でもとりわけ耐陰性が低いと考えられる。したがって、より強い遮光などしたらどれほどのダメージを受けるか、計り知れないものがある。それが最終的に「あれこれやってみても、やはり歩留まりが悪い」という結果として返ってきているのではないだろうか。
以上のことから、南蛮玉も我が家の他のディンテランタスと同様、夏季休眠をさせずに無遮光栽培を貫徹することによって、十分栽培可能なのではないかと考えている。無論、夏場の高温対策は必要ではあるだろう。しかしそれは、我が家のメセンの従来通りの四段構えの高温対策、すなわち、①岩石鉢+②二重鉢+③水上栽培+④日没後のシリンジ(ただし直射光は容赦なく当てるw)、で十分ではないかと思う。なにしろ、富貴玉系と分布域がかぶっているわけだから。