朱唇玉 | 岩石翁の多肉ブログⅡ

岩石翁の多肉ブログⅡ

メセン栽培を主軸として、多肉植物の「岩石栽培」という新手法を実験中。その記録です。

最近の朱唇玉

 

 何年か前にホームセンターから救出してきた朱唇玉が、かなり立派に育ってずっしりとしてきた。小さい鉢に植えていた導入時の写真↓と比べても、しっかり成長しているのがわかる…のは私だけであって、鉢と一緒に大きくなっているから、そうは見えないか(苦笑)。こういう場合は、比較対象(昭和で言ったら「タバコの箱」とかw)を一緒に写しておかなければならないな(反省)。

 

導入時の朱唇玉

 

 ちなみに、うちでは基本的に「(入手後)徐々に直射光に慣らす」ということはしない。というか、そもそも遮光された置き場自体がないので(※ガステリアなどは棚下に置くことで対処)、強光線が苦手な種類でない限り、持ち帰ったらそのまま直射光下に置くことになる。これまでにこのやり方で日焼けしてダメになったりした例はないので、よほど繊細な種類でなければ気にかけるほどのことはないのだろうと思っている。


 ところで以前にも書いたが、朱唇玉を見るとついつい、こういう饅頭↓を連想してしまうんだよなあ(笑)。

 

 今年はおかしな天候が続いたせいか、例年になくリトープスの動きが遅い。予報では今日からしばらく好天が続くらしいので、それを受けて花芽が上がってくるのではと期待しているのだが…。

 

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 さて、最後に時々実施している老婆心コーナー(笑)。このブログを途中からご覧になって「この岩石翁なる人物は、マニュアルを無視した無茶苦茶な方法で(ディンテランタスや)リトープスを育てている」と誤解する方が出てこないよう、従来の栽培方法の誤りを正すべく先人たちが切り開いてきた「新しいリトープス栽培法」の簡単な説明を添えておく。以下は、私が先人たちの貴重な先例から抽出し実践してきた要点を、自分なりにまとめたものである。

【新しいリトープス栽培法の根拠と要点】
①例外はあるが、リトープスやその他のメセンが「冬型(冬生育型)の多肉植物である」という従来の認識は誤りである。実際には、彼らの大部分は夏に雨が降る地域に自生している。したがって当然、ほとんどのリトープスは春から秋にかけてが生育期となる(例外、すなわち冬に雨が降る地域に自生しているものも数種類ある)。
②リトープスは休眠などしない。冬や酷暑期など生育が鈍る時期はあるものの、コノフィツムなどのような明確な休眠期は存在しないメセンである。従来のいわゆる「夏季休眠」は、自生地とはかけ離れている我が国の気候に対処するために編み出された、リトープスの生育サイクルを無視した対処法に過ぎない。リトープスの大部分は夏が生育期なのだから盛夏でも遮光や断水をする必要はなく、むしろ、生育期に光と水を断ってしまう夏季休眠は有害であると言っていい
③したがって、一部の例外を除いて遮光は必要ない。むしろ、ただでさえ晴天率その他の日照条件が自生地より劣っているため、十分な光量が得られないことの方が問題である。我が国の異常な高温多湿への対策は講ずるべきだが、その手段として遮光することで光合成のエネルギー源を減らしてしまうのは、本末転倒である。
断水も必要ない。ただし、気温の高い時期は、必ず夕方以降に灌水するようにしなくてはならない。酷暑期には、この時間帯にシリンジするのも有効である。また、脱皮期間中もある程度の水分補給は必要なので、微量灌水は続ける(この時期に異常脱皮を起こしやすい、いくつかの種類は除く)。
⑤リトープスはなるべく頂面だけ出して深植えにする。根際が見えるほど浅植えにしないと腐ってしまう、などという注意点をよく目にするが、これは事実に反している。本来は頂面だけを地表に出す形で埋没して自生しているのが自然な姿であり、逆に、地中にあるはずの側面は頂面ほど強光線に強くないということを認識すべきである。うちでは全てのリトープスを可能な限り深植えにしているが、それが原因で腐死したことは今まで一度もない
⑥これまた一般的な栽培指南書等で推奨されていることに反するが、脱皮殻(旧皮)を取り除く必要はない。自生状態ではむしろ、残った脱皮殻によって側面が保護されているのである。前項の深植えやこの脱皮殻を残すことによって腐死したりカビが生えたりするとしたら、次項の栽培環境や管理体制の方に問題がある。
⑦腐死や徒長など、リトープスに起きる様々な問題の大部分は、日当たりの悪い場所や風通しの悪い場所で育てていることに起因するといっていい。日照と通風がある程度確保できない環境では、残念ながら、まともに栽培することは不可能な植物である。