あとから補足、そして新規導入リトープスの植え替え | 岩石翁の多肉ブログⅡ

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メセン栽培を主軸として、多肉植物の「岩石栽培」という新手法を実験中。その記録です。

 書いたつもりだったのだが書いていなかったかもしれないなので、丈高鉢のリサイズに関する件を、遅まきながら(笑)書いておく。

 

 特にリトープス用に導入した丈高鉢は中サイズと大サイズを買ってみたのだが、大抵のリトープスは中サイズがちょうどよかった。ただし、大きめの群生株になってくると鉢の径が手狭になってくる。そこで大サイズが必要になるわけだが、ここにちょっと誤算があった。大サイズの鉢は大きいから日当たりの関係で置き場の奥に置くことになるが、うちのメセン置き場はあまり高さがないので、非常に取り出しにくくなってしまう。また、時間帯によっては他のメセンを日陰にしてしまうことも問題である。本来の趣旨としては、新型岩石鉢の鉢内環境を自生地の状態に近づけるための丈高鉢導入だったのだが、よく考えたら大サイズほどの高さまでは必要なかった。そこで、リトープス用に使う場合に限り、ちょっとした改造を施すことにした。大サイズの丈高鉢をカットして繋ぎ直し、中サイズと同じ高さに揃えてしまうのである。「どうしてわざわざこんな手間ひまを?」とお思いの方もおられるかもしれないが、うちのメセン置き場はとにもかくにも猫の額なのだ(哀)。なので、なるべく鉢数は増やさないようにしなければならないという特殊事情がある。
 

 以上が、書き忘れていたかもしれないことだ。私も老いぼれた(笑)。

 

 さて、話は変わるが、先日載せられなかった新規導入リトープスの写真を掲載したい。

 

導入時のダブネリー

 

岩石鉢に植え直したダブネリー


 まずはダブネリー。同じコールナンバーでも顔つきの違うものが何株もあってあれこれ悩んだのだが、なるべく私好みのダークな色調のものが欲しかった。この人はまだ若干幼苗の特徴が残ったままだが、他の株よりも色彩的に将来性が見込めると判断してセレクトした次第。富貴玉の変種だから栽培上の不安要素はないので、特に問題なく生育していくと思う。

 

導入時のバッカス

 

岩石鉢に植え直したバッカス


 問題はこちらのバッカスだ。原種である李夫人自体が徒長しやすい種類なのだそうで(よく見かける「長くなったリトープス」の多くは李夫人系だ)、この人もやはり長めな体型になっている。そして更には、バッカスの方がより徒長しやすいという追い打ち情報も…(暗)。ちなみに、徒長しやすい種類には冬季降雨地帯産のものが多いが、李夫人はそうではない。これはどういうことなのだろうか。気になっていろいろ調べてみたところ、李夫人は鉢内の過湿の影響を受けやすい、という説を目にした。では、なぜ過湿の影響を受けやすいのか(謎)。これは当ブログの基本方針であるが、このような場合は自生地の環境に立ち返る必要があるだろう。ご存じのように、私は(自称)自生地原理主義者なのだ(笑)。


 で、以下は素人である私の推論だが、実は(ご存じの方もおられると思うが)李夫人の自生地は「塩田」と言っていいような場所なのだ。リトープスの場合、こういう環境に自生しているものはおそらく他にないが、メセン全体で見ると、宝輝玉(ムイリア・ホルテンセアエ)が塩分の多い場所に自生しているメセンとして有名である。この宝輝玉は塩分が完全に生育要因の一つになっていて、栽培下では塩水を与えてやらないとマトモに育たないと聞く。それでは李夫人はどうなのかというと、なぜかこちらは与えなくても育つのだ。国内はもちろんのこと海外の栽培情報にも目を通したが、李夫人には塩水を与えろというアドバイスや、実際に塩水を与えて育てている人は見当たらなかった。おそらく体質的には宝輝玉ほど塩分過多の環境に適応しておらず、「いやいやながら自生している(苦笑)」といった感じなのではあるまいか。しかし、である。高校の理科の話みたいになるが、土壌に塩分が多ければ、当然の結果として李夫人の根に対する浸透圧は低くなる。つまり、他のリトープスよりも土壌水分を吸収しにくい状況に陥る(=無理してでもせっせと吸水しなければならなくなる)ものと思われる。小難しい話になったので簡略化してざっくりと説明すると、「しょっぱすぎると水をたくさん飲みたくなるよね」という話だ(←簡略化しすぎ)。そういう環境で進化してきたがために、水分が多すぎるとついつい吸水しすぎて(笑)徒長してしまうことになるのではないだろうか。というわけで李夫人自体に関しては、「わざわざ塩分を与えてやる必要はないが灌水は辛めにする」という管理が適しているのではないかと思う。


 次に、「バッカスの方が更に徒長しやすい」問題であるが、こちらに関してはある程度の見当はつく。先日、紫勲に端を発する(勝手な)体色研究の結果、無彩色(白や灰白色)以外では黄色に次いで赤の可視光線反射率が高い、ということが判明した。そうなると話は単純だ。緑色の「窓(=リトープスにおける光取り入れ口)」を持つ原種に比べ、窓まで赤紫色のバッカスは光を弾き過ぎてしまう(=強光線を必要とする)のだ。ちなみに帝玉でも、紫帝玉の方が徒長しやすい傾向があるという。多分、理屈は一緒だろう。


 以上のことから我が家でのバッカスの栽培方針は、「灌水辛め」で「容赦なく直射光栽培」という二点を守れば徒長を最小限にとどめられるのではないかと考えている。バッカス用岩石鉢の中身も、通常の新型岩石鉢より砂利を多めにして排水性を高めておいた。これでどうなるか。